無題60 ページ17
藍澤Aの目撃はすぐに噂となって広まった。
ある者は、幽霊としてこの世に残っている。
ある者は、実は生き延びていた。
目をはっきりと確認したものは、藍澤は実は喰種だったと言った。
ハイル「コオリ先輩…」
宇井「なに?」
ハイル「Aさんの話…」
宇井「きっと見間違いでしょう」
私はそう結論付けた。
世の中、顔が似ている人間は3人いると言われている。
だから見間違いでしょう、そう終わらせた。
だって、生きてるんだったら何で私に顔を見せに来ないんだ。
少なからず、2年と少し前は両想いだったんだ。
直接伝えあってはいないけれど。
私の勘違いじゃなければ、両想いだった。
それなのに、私に姿を見せないのはおかしい。
宇井「見間違い、ね」
ハイル「なーんでまた、こんな時期なんでしょうね」
宇井「時期?」
ハイル「だって、2年間は姿を見せなかったのに、どうして突然って感じです」
宇井「まあね。…でも、関わらないのが一番」
私は再び自分のパソコンに目をうつした。
ハイルも諦めて机に戻るだろうと思った。
でも。
ハイル「先輩はそれでいいんですか?」
宇井「何が?」
ハイル「Aさんのこと、好きだったくせに」
ハイルはそれだけ言って執務室を出ていった。
ああ、好きさ。
でもあの目を見た以上、これ以上Aのことを知りたくなかった。
いつか、殺さなければいけなくなるかもしれないから。
◆◇◆
「拝啓、人間だった私へ。
虫の鳴き声もいつしか消え、晩秋の冷気を感じる季節になりましたが、お変わりなくお過ごしでしょうか。
さて、この度は仕事に恋沙汰、人間関係にお疲れでしょう。お勤めご苦労様でした。
ゆっくりとお休みください。
貴方のヘマで、私は今の体で生きています。
体の中でRc細胞が広がって行く感覚はとても気持ちが悪いです。貴方にはわからないでしょうけど。
この体のおかげで生きているわけではありますが、好きな事もできず、食べることもできず、恋沙汰も諦めざる負えなくなりました。
早く死にたいわけですが、そうかんたんに死ねません。
今度、コオリにでも殺してもらおうかと思ってます。
その時、人間だった時できなかった、愛の言葉でも囁いてやろうかしら。
敬具。」
手紙を読み終え、自分の墓に花束を投げた。
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アイリ - 更新お待ちしておりました! (2018年4月10日 8時) (レス) id: f779a5fce5 (このIDを非表示/違反報告)
バニラ(プロフ) - すごく宇井さんに会いたいっていう夢主と、夢主に会いたいっていう宇井さんの気持ちが切ないです・・・!続き、楽しみにしてます! (2018年1月5日 22時) (レス) id: 0c2606bdd5 (このIDを非表示/違反報告)
ソーダ - わわー!続編があります!!宇井さんかっこいい....宇井さんが出てくる度にドキドキします!更新頑張ってください!!ι(`v´)/ (2017年10月19日 22時) (レス) id: 242ab48235 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:狐面少女 | 作成日時:2017年10月13日 21時