15 ページ17
・
義勇と自分は同じ気持ちだと思っていたのに、一緒にいたいという言葉に同意してもらえなかったあげく目まで逸らされてしまったAは、「…すみません、わがままでしたね…」と表情を曇らせる。
そんなAを見て、義勇は迷った様子を見せながら小さく口を開く。
「…俺とお前の好きは違う」
「…私のこと、本当は迷惑だってことですか?」
「違う」
「じゃあ、本当は嫌いとか…?」
「好きだ」
噛み合っているような噛み合っていないような義勇とAの会話は、突然のドアが開く音と大きな声によって中断される。
「戻りました!…あっ、やっぱり!義勇さん!」
入ってくるなり嬉しそうな表情で義勇に駆け寄る赤髪の少年は、「手紙読みましたか?」「会えて嬉しいです!」と無言のままの義勇に明るく話しかける。
「炭治郎。今日からしばらくお前と一緒に修行する、香坂…」
「え、修行?」
炭治郎というらしい少年に、今日から一緒に修行するという全く身に覚えのない紹介方をされたAは、思わず老人の言葉を遮ってしまう。
「そのつもりで来たんだろう?」
老人にさも当たり前のようにそう言われて、Aはいまいち理解できないような表情で義勇に目を向けると、義勇は気まずそうな表情でゆっくりと目を逸らす。
「…。話を遮ってしまってすみません。香坂Aです。よろしくお願いします」
「あ、えと、竃門炭治郎です!よろしくお願いします!」
何も弁解するつもりはないらしい義勇をじっと見つめたあとAが改めて自己紹介すると、義勇とAを見比べていた炭治郎が、Aに向かってぺこりと頭を下げる。
そのまま不思議そうな表情で再び義勇とAを見比べる炭治郎に、Aが「どうかしました?」と声をかけると、慌てて視線を逸らした炭治郎が「あっ、すみません!少し気になることがあったので…」と言葉を濁らせる。
「お二人は恋仲なのですか?」
「いいえ、違いますよ」
「あ、じゃあ兄妹とか…?」
「違いますよ」
それきり、不思議そうな表情でお互いを見つめ合う形となってしまったAと炭治郎に助け舟を出すように、老人が「二人から同じ藤の花の匂いがするから気になるんだろう」と炭治郎に声をかけると、炭治郎はそうです!と言うように何度もうなづく。
「藤の花…?」
藤の花と聞いて、そういえば義勇と出会ってから一度も藤の花の御守りを身につけていないことを思い出したAは、その答えを求めるように義勇に目を向ける。
377人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チーズ(プロフ) - レインさん» コメントありがとうございますー!!不器用、じれったいをモットーにして書いたものなので、そう言っていただいて嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございます! (2019年12月17日 21時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 義勇さん不器用すぎていつ、くっつくんだ!早くくっつけ!クソッ!!見てるこっちがなんかアレだ!!(語彙力) 面白い!! 完結おめでとうございます! (2019年12月17日 20時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - たまごさんさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございます!!そうだったんですね!嬉しいです!次作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年12月1日 7時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - はああ・・・やはり良きです・・・完結おめでとうございます!!無惨様の作品は知らず知らずのうちに見ていました!!好きだなあと思って、作者誰だろ?と下にスクロールしたらまさかの・・・。僭越ながら次作でも応援させていただきます!! (2019年12月1日 0時) (レス) id: 8760f7a678 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - orangeさん» こちらこそ、最後までお付き合い頂きありがとうございます!ぜひ書かせていただきます(^^)もうしばらくよろしくお願いします! (2019年11月30日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月13日 13時