【文スト】中原中也の奮闘記録

上ばかり ページ19

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カチッカチッと、時計の秒針が休む事なく働いている音だけが響く室内


私は絶賛


『寝れない………』


目が覚醒していた


只でさえ寝付き悪いのに、一日何もせず部屋に閉じ籠ってたから疲れている筈もないからして、そりゃ寝れんわって思うかもしれないが

覚えているだろうか、私は昨日からほんの数時間しか寝ていないのだ



『……何故に寝れぬ』



無理に数十分目を瞑っても、少しでも疲れようと腕立て伏せを数回してみても、何を如何足掻いても寝れない


こうなると次に浮上する問題が


『退屈…』


私以外誰も居ない静かな室内に、虚しく消えていく小さな嘆き


少し考えて、立ち上がって部屋を出た


――…朝迄に、中原君が来る迄に、部屋に戻れば問題ないよね、うん


これは失踪とは云わない、暇潰しだ


と、勝手に都合の善い理由を作ってビルの外に出た



時刻は午前二時、深夜である



本部ビルから程近い広い川縁のベンチで、呆けっと空を見上げる


色々考えた、前の組織に居た時の事、死んだ彼の事、それから、今の事も

私が今日迄、自分が置かれた状況を深く考えなかったのは、過ぎた事を考えても仕方ないと思っているからで


作戦を破られて組織が殲滅した事も、其の抗争で彼が死んだ事も、今、ポートマフィアで監視されている事も、今更考えたって仕方ない



――――全部、自分の所為で起きた事なのだから


あの時あんな作戦立てなければ、あの時前線で彼の傍に居れば、あの時逃げていれば

悔やんだって如何にもならない


って、判ってても、考えて悔やむのが人だ、私だって例に漏れず、現に今悔やんでる


そして自分を責めるのも又、人間のサガだ


なんでこんなに莫迦なんだろ人間って、なんでこんなに莫迦なんだろ、私


『…っ………』



――いい大人なのに泣くなよ、みっともないなあ



『はぁー………帰ろ』


意思とは関係なく溢れる涙を拭って立ち上がった時だ


今迄空を見てたから気付かなかった





『いつから居たの…？――――中原君』

「……」


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