sugar6.土方十四郎 ページ6
『土方くん』
「帰ろ」と教室の扉から顔を覗かせる。俺よりも小さな背、ふわふわした髪に本人はコンプレックスだと言い張る赤ん坊みたいに薄紅色の頬。
そんな小動物のような彼女が、無愛想な俺を選んだ理由が分からない。
『……どうしたの?』
「具合悪い?」「大丈夫?」と丸い瞳を潤ませて俺の顔を覗き込む。Aは心配そうに俺の頬に手を触れ、熱がないか確認していた。
『大丈夫だよ』
彼女の手を取って指を絡めれば、瞬く間に一層頬を赤らめてしまう。お前の方が熱があるのではないか、と言いたくなるのを堪え、そのまま歩き始めた。
時折俺を見上げては、目が合うと逸らす……そんな行動を繰り返すA。意味が分からずに小首を軽く傾げると、「あのね」と照れ臭そうに話してくれる。
『まだ、夢みたいなの』
『土方くんが私の隣にいるなんて……』
『幸せすぎて、死んじゃいそう』
へへっと白い歯を色付きの良い唇から覗かせて頬を掻く。思わず足を止めた俺に吊られて彼女も立ち止まり、俺を一直線に見上げた。
ゆっくりと少しだけ開いたAとの隙間を埋め、小さな身体を抱きしめる。
抱きしめた瞬間に香る匂いと安心する感触。まるで俺の為だけに作られたみたいな彼女に、手繰り寄せるよう、腕を強く回す。
思わず強く抱きしめ過ぎてしまったため、「苦しかったよな」とAへ回していた腕を緩めた。しかし今度は俺を離さんと言わんばかりに彼女が抱きしめてくる。
『土方くんに抱き締められたから死んじゃった、なんて……』
『幸せな死因だね』
『……バカ言うな』
手の甲で軽く彼女の額を小突き、今度は緩々と抱きしめた。なかなか「好きだ」と言えないから、こうして示すしか方法を知らないのである。
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ハル(プロフ) - なな天パさん» いいえ〜! ね、本当に教師との恋愛って憧れるけど実際どうなのかなー、と考えながら作った結果がなんだこれって感じになってしまったのですが、そう言ってもらえるととてもありがたいです(´ ∀`) 閲覧とリクエスト、ありがとうございました (2018年1月6日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
なな天パ(プロフ) - ハルさん» リクエストを受けて下さりありがとうございます!夢主ちゃんが冗談が嘘って言った後の松陽先生の確認の行動が可愛かったです。あと、最後、二人でひとつのブランケットって言うのがすっごい良かったです。全部ひっくるめて最高でした!本当にありがとうございます!! (2017年12月30日 20時) (レス) id: 63c427bf32 (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 紫蘭さん» 儚すぎて書き終わった瞬間に「ううん」と首を捻ってしまうくらいのあれですね……(;´д`) バイオバザードとかやってたんですか? それはそれでいいクリスマスだと思いますよ!自分の好きなことをするのが一番です! こちらこそ閲覧ありがとうございました( ´ ∀`) (2017年12月30日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
ハル(プロフ) - 銀皐月さん» まじか!ありがとう!! もうハルとして見てもいいよ笑 どうせそっちも何にも変わらないハルだし笑 うん、頑張るね! あっちでも夢書きやってるから、また時間があったら見に来てくださいな(^人^) ありがとう (2017年12月30日 11時) (レス) id: 645308de9c (このIDを非表示/違反報告)
紫蘭(プロフ) - 儚いのがまた良いですね。私好みです笑 ちゃんとクリスマスになってますよ!!こんなクリスマス…羨ましいです…。私なんて、前日も当日もゾンビから世界を守ってましたから笑 でもハルさんのお陰で最高のクリスマスになりました!!ありがとうございます! (2017年12月27日 15時) (レス) id: 684ce788b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/harumemory
作成日時:2017年9月5日 18時