天才音楽家と言われた少女は笑う［歌い手］

本音。1 ページ2

･


「お疲れ様でしたーっ」


楽屋に戻り、水分補給をする。
…最高のライブだった。それ以外言いようがない。

興奮で、まだ手が震えてる…


「Rayくん、Souくん！三人で撮ろ〜」

『ん、撮ろっか』


三人で、トロッコに乗っていた時と同じようにピースで撮る。

坂田さんや96ちゃんとも撮っていると「ねぇ」と声をかけられる。


『まふくん…』

「…ね、撮ろ」


写真を撮っている間も、終始無言。
多分、さっきのことを尋ねていいのか考え込んでいるんだろうな…と他人事のように思った。

意を決したように、まふくんが口を開く。


「あれ…本気なの？」

『…もうそろそろ、分かりますよ』


奏にはどこかで時間を潰してくるように言ったし、乃愛は多分来るって勘づいているだろう。

コンコンッとノック音が楽屋に響く。


「…どうぞ」

「お邪魔するわ」


カツカツとヒールを鳴らして、お母さんが入ってくる。
…やっぱり来たか。


隣でまふくんが「音楽家の零原麗華…！？」って驚いている。

じろっと辺りを見回して、私を見つけて近寄って来た。


「どういうことか、説明出来るわよね？」

『……説明、します』

「「！？」」


いつもの高い声で返事をすると、皆が驚いたように私を見た。

…乃愛だけ「あ、声戻ったぁ」なんて、呑気なこと言ってたけど。


･

本音。2→←彼女は伝える。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す