20番地獄 ページ22
「────鬼灯?」
おーい、と手を鬼灯の顔の前に持っていきヒラヒラさせるとその手は一瞬にして掴まれた。
俯いた状態から顔をあげると、そこにはいつもの普通の仏頂面な鬼灯がいた
あ、怒ってない…と皆がホッと一息ついた瞬間、Aの手を掴んでいる力を折れない程度に強くしてズイッと顔を近づけた。
「────貴方はまるで危機感がない。
というかポーズ付きでそんなのやられたら男にとっちゃあ据え膳のようなものですよ」
特に私にとって。と付け足した鬼灯のバリトンボイスにAは冷や汗をかき苦笑いをしながら身を引いた
「ち、近いって────!!
あと妙に良い声で耳元で囁かないで!ゾ、ゾクって来ちゃう、」
掴まれていた手を離し、鬼灯を軽く睨むAだが当の睨まれた本人は平然と涼しい顔をしていた。
むしろそれが逆効果だというようにため息をつきながら、いまだ睨むAに軽くデコピンをした
「痛っ!?」
「────鬼灯様ァー」
「あっお香ちゃん!!!」
すぐにパッと表情を明るくして笑顔で走って行った先には美しい鬼女がいた。
名をお香といい、衆合地獄の主任補佐をしているいわゆる一種のエリートだ
「はい、どうしました?」
「Aちゃんお久しぶり!元気かしら?
あっそうそう────この武器庫の用具数が記録と違くて…」
「…ん?」
お香の手にある書類を見ると、Aはふと「どこかで見たことある字体だなぁ」と考えた
案の定、唐瓜がとっさに声を上げて茄子を引っ捕まえて突き出した
「すみません、コイツです!!
今から直しますんで…」
「あら、新卒ちゃんかしら。次からは気をつけてねェ
────Aちゃんも、鬼灯様の気持ちをもてあそぶのは程々にしておきなさいね?」
少しイタズラをした子供のようにクスリと笑ったお香は、そのまますぐに衆合地獄へと戻ってしまった。
「────もて、あそぶ?」
その言葉の意味はAにとってとても難問であった
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結菜(プロフ) - クリスマスなひとし君じゃなくてクリスタルひとしですよ笑笑 (2021年5月5日 17時) (レス) id: e175c16b78 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼竜 | 作成日時:2018年5月24日 22時