失礼 ページ10
知らない人がいた。
当たり前だ。小説の登場人物に会う確率なんて死ぬほど低い。
「後ろの席の
橙色の髪に水色の目も名前にバッチリ。
また、小説の登場人物かと言えるようなくらいに、ド派手な容姿＆美形くんだ。顔面偏差値バグってんじゃねぇの。
それにしてもここに校則はないのか。
ほとんどの人は茶髪や黒髪だけれど、主要キャラで茶髪なの主人公だけだぞ？
『よろしく。あと俺の名前は"つどい"な？集井 新彩』
新彩がそう言うと、昼浜はえ！？そうだったのか！？と大きく反応する。
ほんとにこの人、小説の登場人物なのでは？
何気にありそうだぞ、こりゃ、と頭の中で冗談ほのめかしていると、昼浜はあれ、なんだっけ名前と言い始める。
次にはにら？いや違う、にり…にる……と考え始める。あと少しで正解に届きそうだったが、ささやかな意地悪をするために口を開く。
『新彩だ、にーろ』
「ああ！それだ〜〜！」
新彩はこの人、少し失礼じゃないかと思ったが、その考えはすぐに拭い去った。なぜなら、昼浜のこの純粋な仕草には悪意の欠けらも無いように感じたからだ。
『…なぁ、なんか先生遅くね？入学式の時間とかとっくに過ぎてると思うけど』
新彩は昼浜と軽く自己紹介をしながら、黒板の隣に立てかけられている時計を確認する。
「あれにーろ、知らないの？
『…え？』
昼浜によると、花原学園では、入学式や始業式はないらしい。生徒会が廃止したとかなんとか。まぁ、終業式や卒業式などはあるらしいが。
『そうなんだ……』
いや、入学式と始業式廃止する生徒会がどこにいんだよ。
さすが小説の世界。
そういえば、小説にもその展開無かったな。まあ、小説が始まったのかま、登場人物が入学してから1.2ヶ月後のことだからか。
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作者名：鈴宮 | 作成日時：2021年9月30日 20時
