06. 姉と弟と幼馴染 ページ7
足が痛い
こんなに運動したのは何時ぶりだろうか
重い身体を引きずり自宅へと向かっていた私を
爽やかな声が呼び止めた
「A！」
「姉ちゃん！」
振り返るとそこには
弟であるりょうちゃんと幼馴染のいっちゃんが
2人は同じ雷門中の陸上部
こうして一緒に帰ってくることも多い
「こんなに遅いなんて珍しいな」
「学校で何かあった？」
「いや、ちょっと部活」
「部活!?姉ちゃん何時から部活入ったの？何部？」
「まあ色々あって、サッカー部に」
顔を見合わせる2人
りょうちゃんに至っては
真ん丸な目が更に真ん丸になっている
「姉ちゃん部活始めたのかぁ！試合出る時は教えてね、絶対観に行くから！」
「そんな大したことじゃないよ、発足したての部活の助っ人みたいな感じだし」
「でもまたお前の走りを見られるなんてな。ファンとしては嬉しい限りだ」
悪戯に笑ったいっちゃんは私と肩を並べた
夕焼けに照らされたアスファルトを
3人で並んで歩いていく
「いっちゃん、短距離専門なのに走高跳の私にタイム勝てなくて泣いてたもんね」
「な…っ、それは言わない約束だろ!?」
「ええっ!?風丸さんより姉ちゃんの方が足速いんだ！知らなかったぁ」
「ほら、知らなくていいことを後輩に知られたじゃないか！今はだいぶタイム伸びたんだからな！この前の大会でも＿＿＿＿」
嬉々として陸上のことを語る2人が眩しくて
目を逸らしたくなる程だった
私だって
何も無ければまだ走り続けられたはずなのに
「…っ、ごめん…」
「何でいっちゃんが謝るの」
「だって…」
「私はまた走れる。それが陸上のトラックじゃないだけで、走れることに変わりはないんだから」
"陸上のトラックでなくても
貴女が走れる場所はあるのかもしれないわよ？"
瞳子先生の言葉が私を奮い立たせる
もう1度頑張ってみようって思えたんだ
「…腹立つ奴が居るの。ゴッドストライカーとか言われてて、上から目線でさ。でも実力は本物だって、友達が言ってた。だから私は、そいつを倒して永世学園サッカー部のエースになるって決めたの」
不思議と足が軽く感じた
突然駆け出した私に驚いた2人は足を止める
「私の走りで、私のジャンプで、エースの座を掴み取る。"1000年に1人の天才"って、言わせてみせる」
決意を口にする私に2人は優しく微笑んだ
「お前なら、出来るかもな」
「姉ちゃん、頑張れ！」
エースの座、貰ってやるから
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しろ(プロフ) - いづうさん» ありがとうございます嬉しいです……！ (2019年2月25日 19時) (
レス) id: ce9889e8a9 (このIDを非表示/違反報告)
いづう(プロフ) - 興味をそそる書き方にもう敬服しまくりです！！文面が洗練されてて読みやすかったです！つい一気に読んでしまいました…。ガンバレ夢主ちゃん！吉良を見返したれ！ (2019年2月24日 22時) (レス) id: a4beff7793 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろ | 作成日時：2019年2月20日 18時
