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迎えに来たら、諦めるって決めてたから。
「ミツ、ごめんな。ドア開けてきていーよ」
「…え」
「ほら、行きなよ」
「・・・、」
ミツも相手が分かっていたんだろう、そのまま乱れた服も直さず走っていった。
「・・・太輔っ」
「宏光…!」
自分も後から追いかけると
玄関先にいたのはやっぱりガヤだった。
ガヤの顔を見た瞬間、そのままガヤに抱きつくミツ。
ガヤはそんなミツを、抱き締めた。
「逃げて、ごめん、宏光」
そしてそうミツに言うとミツの瞳からはまた涙が零れた。
ガヤの目にはきっと首筋にある紅い痕が入ったんだと思う。着崩れている服にも気づき急いで、ガヤは自分の着ていた上着をミツに被せた。
その光景を見てハッとする。
そして次にはミツから離れ
ガヤは地面におでこをつけた。
「玉森、ごめん。大切な人を奪ってごめん。奪ったくせに優等生ぶってごめん。」
所謂土下座で。
「北山が好きです。愛してます。もし、北山がまだオレを愛してくれているなら…北山をオレにください!北山を幸せにする役目を譲ってください」
ガヤはそのままおでこをつけ顔を上げない。
するとミツもその横にいき、
一緒に地面におでこをつけた。
「ごめんなさい、裕太、お願いします」
二つ並んだ背中。
「・・・藤北にこんなことさせるなんてオレが悪者みたいじゃん、ただミツが好きなだけ、なのに」
もう笑うしかなかった。
愛しい人に拒絶され、その恋敵に懇願され、道はひとつしかなかった。
「ミツ、ガヤよりオレがよければいつでも戻ってこい。その時はもう絶対に離さない」
「裕太…?」
自分が思ったよりも優しい声が出てそれに顔を上げるミツ。
「ガヤも、ミツを泣かせたら次は譲らないから」
「タマ…!」
ガヤも顔を上げる。
「ミツ、さっきは本当に悪かった。一番大切なこと忘れてたんだな。“思いやり”を」
「え?」
「ミツを見たガヤすかさず上着を被せたよね。それを見て、本当に大切なんだって思った」
ガヤはミツを見て、何があったのか気になっただろうに、それよりも先に上着を被せた。
自分だったら先に問いただしていたかもしれない。
いつからこんな自分になったのだろう。
同じように仕事ばかりを優先して。
反省してたはずなのに、全然成長出来ていない自分に気付く。
「ミツをよろしくお願いします。」
自分もしゃがみこみ二人の視界にあわせて微笑んだ。
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もも(プロフ) - スケベ面さん» スケベ面さん はじめまして!お話読んでくださりありがとうございます!中編が見えないのですね<(_ _)>すみません、フラグを立てていますので年齢の関係かと思われます。大変大変申し訳ございません(><) (2018年7月11日 6時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
スケベ面(プロフ) - 前編を読ませていただきましたっ切なくて続きが見たいのですが作者様の全作品を見させていただいたのですが前編後編しかありません(><) (2018年7月10日 8時) (レス) id: 909d98024f (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ふじみつさん» ふじみつさん 終わってしまいました(´・・`)本当にご覧頂きありがとうございます!ハラハラさせてすみません<(_ _)>疲れますよね!笑 こちらこそ幸せを感じて頂けて光栄です。本当にありがとうございました! (2018年6月3日 1時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
ふじみつ(プロフ) - あ〜〜終わってしまいました。ずっと切なくてハラハラして。。藤北玉の3人の純情が苦しくて幸せを祈りながら読んでおりました。2人が幸せになれて本当に良かったです!こちらまで幸せになれました。ありがとうございました。次のお話しも楽しみにしております! (2018年6月2日 23時) (レス) id: c46653f4f4 (このIDを非表示/違反報告)
もも(プロフ) - ぶぃ〜さん» ぶぃ〜さん 久しぶりにリアルな二人をご覧頂いたんですね!恐縮です。ありがとうございます!お話に入り込んで頂けたなんて嬉しいです(/ω\)本当にこちらこそありがとうございました! (2018年6月2日 20時) (レス) id: 5b51068866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もも | 作成日時:2018年5月27日 14時