フラグ81 ページ42
ふと父の皿を見ると、カレーがあまり減っていないことに気がついた。いつもならそろそろ2杯目のおかわりに立ち上がるのに。
「カレーは、楽しく食べたいから」
「......え?」
ぼそりと一言、父は呟いた。
それからとつとつと静かに語り出した。
「少し前、お前が帰ってこなかった日があっただろう?あの辺りからなんだか嫌な感じがしていたんだ。上手く言えないんだが...」
私もいつの間にか手を止めていた。
「綱渡りをしているみたいな危うさをお前に感じたんだ。でも確証が無かった、だから何もできなかった」
父は私を見つめた。
「メモを残したまま帰ってこなかった時、テレビもラジオも人質事件で大騒ぎで、予感があたってしまったらどうしようかと思った。ずっと、心配だった」
父の言葉は強かった。反対に父は弱々しく目を伏せた。
母親がいない間、一人娘を育てる事の重圧がどれ程のものか。私は今さら思い知った。
「だが今は、すごく頼もしい」
父が顔をあげる。その顔は、心なしか明るい。
「それになんだか楽しそうだ。以前にも増して。だから作ったんだ」
何を言ってるか分からないだろう?自分でも分からないよ。
笑みをこぼしながら父はコップの水を飲んだ。
.
1068人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
花岳(プロフ) - チョコレヰトさん» ひゃーー!お褒め頂き光栄です......!ありがとうございます。相変わらずだらだら更新していくと思いますが必ずや完結させてみせますので!応援よろしくお願いします! (2019年2月11日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレヰト - おおお…面白いですね!ギャグ一直線って言うわけでもなく、かと言って重すぎるシリアスも無く…!!丁度良くて、見つけて一気読みしてしまいました…w応援してます!更新頑張ってください!いつまででも待ってます! (2019年1月27日 22時) (レス) id: 9bf0bfde55 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 結愛さん» 素敵なほのぼの文芸部だったんですね...こちらはガチガチ文芸部です...〆切前は常に修羅場で、よく悲鳴があがってます。それはそれで楽しいんですけどね!他校の部活の様子を聞けて嬉しいです!コメントありがとうございました!! (2018年9月19日 1時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
結愛(プロフ) - 私も文芸部だったのですが、私の居た文芸部とは違うのですね…。(私の居た文芸部では皆好きなようにお絵描きしてました) (2018年9月17日 13時) (レス) id: 4e4bc357c1 (このIDを非表示/違反報告)
花岳(プロフ) - 紅夏さん» ありがとうございます!!!!もう、ほんとにありがとうございます。待ってる、と言って頂けるだけで頑張れます。絶対書き上げますので、待ってて下さい!、 (2018年9月17日 11時) (レス) id: 95c5868039 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:花岳 | 作成日時:2018年1月10日 23時