暗い過去？無い無い。チートな異能力？無い無い。これはただの体質...のはず...ってか来んな！その２！

フラグ57 ページ18

太宰side

Aちゃんの全貌が明らかになってきた。

彼女こそが巷を騒がす異能者その人だった。




彼女自身がその現象を説明出来ないこと。
私が触れたことで本来の力が発揮できなかったこと。




少々手荒なやり方ではあったけれど、それを彼女の口から確認できたから間違いない。

Aちゃんはよく頑張った。


悔しかったのはそれを推測できなかったことだ。


近頃になって闇組織の活動が活発化していることも、それらが"幸せを呼ぶ異能者"を追っていることも周知の上だった。

でも敦君の推理と裏社会の躍動を結び付けるまでには至らなかった。



だって"幸せを呼ぶ"のと"事件に巻き込まれる"なんて共通点がまるでないじゃないか。



言い訳をしつつ、これからはもう少し推測の範囲を広げようと決意する。




小花衣Aは"幸せを呼ぶ異能者"であり
その身を裏社会に狙われている。

間者の可能性も消えた。
これだけ闇組織が動いているのだ。




であれば武装探偵社として為すべきことはただ一つ。

でもその前に。


そっと手を放した。
これ以上幸せを奪う訳にはいかない。


消えた温もりに気づいたのか、Aちゃんが私を見上げる。


「大丈夫。ちゃんと見ているから」
『別に心配してません』


手のひらに風が通った。





それに、彼女の異能は物体ではなく事象に作用する。


いくら私でも、事象なんて抽象的なものに触れて無効化することは出来ない。



つまり反異能者である私にも影響がある異能力。



面白いじゃないか。



彼女に触れていれば異能は発動しないが。


それでも異能力というものが、私にどれくらい影響するのか興味が尽きない。


楽しみだ。


あ、でも。


『...？？』


やっぱり手は繋いでおこう。


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