暗い過去？無い無い。チートな異能力？無い無い。これはただの体質...のはず...ってか来んな！その２！

フラグ43 ページ4

太宰side

「はた目には分からない...？」

彼女との時間を思い返しているのか、真剣な眼差しで記憶を辿っているようだ。

「そう。敦君、社長の異能力知ってるよね？」

「探偵社員の異能の出力を調整する...ですよね」

真面目な顔のまま答えられる。
私は質問を重ねる。


「そうそう。ではもう一つ質問だ。
異能を知らない人が社長を見たらどう思うかな？」

「...うーん。強そうな人、とかですかね」


そう来たか。確かに眼光が鋭いからねえ。


あの、太宰さん。
痺れを切らした敦君が遠慮がちに問いの意味を求める。


一生懸命だなあ。
本当に、何があったか気になるなあ。

腹の底で思いながらも、何とか顔に出るのを抑える。

一つ咳払いをして続ける。


「この二点を踏まえて、だ。

はたから見たらただの強そうな人が、実は一つの社を支え数多の異能者を纏め上げる異能を持つ人物である。
社長の異能力は持続的なものだから、例え異能の存在を知る者であっても詳細を見抜くのは困難...」


そこまで言うと、敦君はハッと顔を上げて「そういうことか」と呟いた。


「はたから見たらただの高校生だけど、本当は何かすごい人かも知れないってことですね」


的を射ているような、そうでないような...

まぁいいか。伝えたいことは伝えたし。
言葉に表せなくても敦君は解っているはずだ。


表面を掬っただけでは計り知れないような大きなものが、底で光っているのではないか。

それが、第二の可能性。




いいや、彼に伝えていない事が一つあった。


もし、この可能性が高い場合。
強力な異能を隠し我々に近付いていた場合。


彼女が間者である事は確実になる。



しかし敦君が一生懸命にAちゃんの事を考えている姿を見ていると、とても言い出す気にはなれなかった。


私も丸くなったなあ。

昔の自分を思い出して、小さくため息をついた。




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