攘夷浪士の紅一点：零【銀魂】 (ページ4)

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お稽古篇ページ4

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竹刀のぶつかり合う音

いつの間にかその音はうちにとって心地のいいもんになっとった。

松陽「ははっ、また私の勝ちです」

銀時「……クッソ」

倒れ込んだボロボロの銀ちゃんに対して、松陽先生は傷一つなく竹刀を銀ちゃんに向けて立っとった。

「……かっこいい」(ﾎﾞｿｯ

華奢に見えて、しっかりした体幹が先生にはあった。

うちと同じように戦場で生きてきた銀ちゃんは、同じ年の子供よりも断然強い。

でも先生はその倍を上回ってるんや。

松陽「さ、戻りますよ」

銀時「もう一本だ」

松陽「だめです」

既に始まって2時間が経過しとった。

それも、普通の稽古が終わってから始まった一騎打ちや。
既に明るかった空も暗くなって、コオロギの声が聞こえた。

銀時「まだだ…松陽、お前から1本獲るまでは、」

息もままならない銀ちゃんはそれでも竹刀を握り直して立ち上がった。

昨日も、一昨日も、同じことをしとるけど銀ちゃんは本気で言うてるんやろう。

松陽「銀時…」

銀時「もう一回だ」

本気なのは分かるし、先生から一本獲りたい気持ちも分かるけど、

「……銀ちゃん、今日はもう終わりにしよ」

先生も言っとるし、銀ちゃんは明日も授業があるし稽古もあるんやから。

構えられた竹刀に手を置いたら、銀ちゃんはうちをギロリと睨んだ。

銀時「入ってくんな、稽古も来ねェ奴に言われたくねェ」

「…………」

松陽「銀時、」

稽古に来ない奴、確かにそうやな。

静止に入った先生に、うちは首を横に振った。

先生の持っていた竹刀に手をかければ、容易く抜き取ることが出来た。

松陽「A…？」

「久しぶりに体動かしたいと思っててん、ちょっとだけやから、先生」

勝つか負けるか、確率は五分五分。

いや、うちが勝たな銀ちゃんは諦めんやろう。

銀時「…は、」

「うちが手合わせしたるわ」

銀ちゃんの顔に竹刀を向ければ、驚いた表情をしていたのがすぐに、先程の真剣な顔つきになった。

「うちが一本獲ったら今日は終わりや」

銀時「負けたらどうすんだよ」

「…せやな、そんとき考えるわ」

ジリ、と地面に擦れる足の音。

勝負が決まるのは一瞬、ああ、この感じ久しぶりや。