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17.絢爛 ページ17

「申し訳ありません。昨夜は兄上様へ大変失礼なことをしてしまいました」
「いや…もういい」

膝を折り、兄に向かって頭を垂れる姿にため息をつく。全身黒一色の長衫をまとう姿は、西方の敬虔な修道士を思わせた。朝一に部屋から出たらすでにこの状態だったのだ。彼なりに反省した結果なのだろう。

「伝えたいことがある」

初日に出会ったアラジンとアリババについて話した。

「彼はバルバッド王国元第三王子アリババ・サルージャ殿らしい」
「…はい。そのようですね」

いつまでも廊下にいるわけにもいかず、部屋の前から移動しようと背を向けるが、Aは急いで立ち上がり呼び止める。

「あのっ!彼のことで少し気になったことが」

白龍がその言葉に反応して歩みを止める。突然立ち止まった兄にAは激突したが、慌てて抱き止められたので石造りの床に倒れずに済んだ。
距離が近いことに驚いたのか、きゃっ、とAは可愛らしく悲鳴を漏らしてすぐに距離を置き、わざとらしい咳払いをする。離れた際に顔面を強く押された白龍は不服そうだ。

「アリババ殿…王子は、不自然なルフの持ち主です。堕天した死者のルフに守られているようで…あくまで可能性ですが、"組織"との繋がりがあるのかもしれません。まあ、あのマギ殿に選ばれた器なので、関係はないのだと信じたいのですが…何なんですかその目は」

弟は組織と繋がりがあるのでは、というのは今までの白龍の見解だ。ジュダルや玉艶に気に入られ、いつも紅炎の後をついて回る、突然現れた少年。
ただ先帝の子だというだけでは大きな後ろ楯にならない。現に白龍は宮廷の隅に追いやられている。
つまり、弟は組織に関係のある人物なのでは、そう思っていた。けれど、今の発言でAは組織の一員ではないという見方もできる。
白龍は話をそらそうとすると、今この場にいない人物を思い出した。いつもAの後ろにいる青年だ。

「あいつはどうした。昨日のお前の態度はひどいものだったぞ。落ち込んでいるんじゃないのか」
「…あなたのような方が私の従者の心配をするとは…ずいぶんとお優しいのですね」

人より自分を心配してはどうなのか、と嫌味を言われている気分だった。目が合うと、Aは慈しむように優しく目を細めるだけで、それ以上何も言わなかった。
朝日がシンドリア王宮を赤く染めていた。

18.妖術→←16.演義


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Seere(プロフ) - とまとさん» こうして温かいお言葉を頂くと、やはり占ツクに戻ってきてよかったなと感じます!2年も経ってしまうだなんて自分でもびっくりです(*_*)完結するまで長い時間がかかってしまうかもしれません。ですが、ふと思い出した際にぜひ覗きにいらっしゃってください♪ (2018年10月13日 21時) (レス) id: 602f4a06eb (このIDを非表示/違反報告)
Seere(プロフ) - とまとさん» ありがとうございます!もしかしたらお気づきかもしれませんが、実はこの作品「古の魔法~」の設定を少しだけ模したものです。思い入れがある作品なので、とまと様が覚えてくださってとても嬉しい反面、ちょっぴり恥ずかしいですね(^.^) (2018年10月13日 21時) (レス) id: 602f4a06eb (このIDを非表示/違反報告)
とまと(プロフ) - 他の作品ではありますが古の魔法のようにシリーズの時からSeereさんのファンです!占ツクに戻っていただいた時は本当に嬉しかったです!この作品を読みはじめて2年もたつなんて信じられないです…ゆっくりSeereさんのペースで作ってください。応援しています! (2018年10月13日 9時) (レス) id: 8aec95c110 (このIDを非表示/違反報告)
Seere(プロフ) - 流羅さん» とても嬉しい言葉を頂きました(*´-`)文章力はまだまだですが、もっと感動してもらえるような作品にするために頑張ります!応援ありがとうございます! (2016年12月28日 16時) (レス) id: 602f4a06eb (このIDを非表示/違反報告)
流羅(プロフ) - とっても面白いです!Seereさんの創る小説は全部語彙力があって、本当に感動するお話です。これからも頑張って下さい、応援しています…! (2016年12月27日 11時) (レス) id: 417529961c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Seere x他1人 | 作成日時:2016年12月24日 0時

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