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渡辺side



覚えたての単語を日常で使えたのが嬉しかったのか、
涼太はヘラッと笑いながらお茶を要求してきた。

ちょうど俺も喉が渇いてきたころだったし、ママが職場のデパートで買ってきたお茶っ葉屋さんのちょっとお高めのお茶を二人分淹れて部屋に戻ってきた。



渡「はい」

宮「ありがとう」

渡「ゆかし以外に何覚えたの?俺まだ単語帳見てないから教えてよ」

宮「....」

渡「....あれ、涼太の周りだけ時間とまった?笑」

宮「........いとをかし」

渡「それ前のテスト範囲だって、やめろよ笑い止まんねぇ笑」



ゆかしを覚えて満足しちゃった涼太。多分今回の古典、平均点ギリギリ届かないくらいなんだろうな。
営業妨害になるからあんま他の人にはこんな涼太の姿言わないけどさ笑



とは思っているもののどうしても誰かと共有したくなって、インスタを開いてこっそり涼太をムービーで撮る。
単語帳を口を半開きにしてぽけーっと眺めながらお茶を飲む姿をしっかり15秒撮影した。


いや、学校と雰囲気違いすぎだろ笑



動画に一言、


『涼太だけ時間の流れ遅い?』


って適当に添えて、親しい友達を選択して投稿した。

あ、親しい友達はいつものメンツ。
だから涼太のふわふわした部分も知ってるしいいかなって思って。









渡「ああ〜わっかんねぇ!!古文単語覚えても読めねぇよ!!」

宮「なんか遠くに行くらしいよ、道真が」

渡「いやまじで道真しか読めないんだけど」



あれから2時間くらい各々勉強していたけど、
授業中は基本寝ている俺と、授業は寝ずにしっかり聞いているのになぜか勉強はできない涼太が協力したところで捗るわけもなく。

テスト範囲は道真とかいう人が左遷される話らしいんだけど、
本当にわからない。

「左遷」が読めるだけ褒めてほしい。


宮「ノートはとってるから現代語訳は持ってるんだけど」

渡「え、写メっていい?」

宮「どうぞ」



涼太に差し出されたノートを見ると、律儀に本文を手書きで書いた横の行に現代語訳が書かれているから、本当に授業は聞いているようだ。
ほぼ寝てる俺のノートは真っ白だからありがたい。



渡「いつもノートありがと」

宮「授業中ずっと翔太寝てるから見るかなと思ってね」

渡「お前良い奴だな」




涼太のノートの現代語訳を見ると、スラスラと読めるし何が書いてあるかもだいたいは理解できた。
ちゃんと重要単語やテスト出題部分に赤ペンで印をつけていて本当に助かる。

36→←34 「当たり前」



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作者名:キキ | 作成日時:2020年8月30日 2時

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