白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ43)

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ハーマイオニーを待っていたAは、突然感じた異臭に眉間に皺を寄せた。今、まさに話題にしていた〝バジリスク〟が姿を現したのかもしれないと思うと震えが止まらなかった。

しかし、しばらくしても彼女は戻って来ない___そのことでAは不安を感じ意を決した。

__ハーマイオニーを追うべきだわ

彼女が危険かもしれない、と思い足を進めようとしたが、マダム・ピンスの『全員寮ごとに固まって談話室にお戻りなさい！今すぐに！』という言葉によりそれは叶わなかった。

談話室に戻ってからだった。
フリットウィック先生がとても悲しそうな声で告げたのだ__

「ミス・クリアウォーターとミス・グレンジャーが襲われました」

これにより、生徒達は夕方6時までに寮に戻り、授業の前後は先生が引率するという規則が加わった。犯人が捕まらなければ学校の閉鎖もありうる。

ハーマイオニーと直前まで一緒に居た上に、異臭を感じたのにすぐに行動出来なかった自分が情けなかった。

「っ」
「A、今、心臓がバクバクしてる__こうすると落ち着くよ」

ルーナがギュッと手を繋いでくれた。

「ありがとう、ルーナ」

しかし後日、生徒が複数人襲われ続けていることに意義を唱えた理事達がダンブルドアに停職命令を唱えたのだ。森番であるハグリッドも、今回の事件の責任を問われ〝アズカバン〟という牢獄に送り込まれてしまった。

もはやホグワーツはパニック状態だ。

Aはハリーにハーマイオニーが調べていたものについて伝えたかったが、彼に上手く接近することは不可能だった。また、梟便で伝えるにも梟小屋に行く必要があるし、手紙を出すものは一度寮監に確認を取ってから行うものという規則も加わっている___手紙のやり取りの中に〝闇の魔術〟が紛れ込んでいないか確認する為だった。

ハーマイオニーと見つけた情報を誰かに共有して、〝秘密の部屋〟の事件を解決するべきだと思ったAが閃いた人物はセブルスだった。

「〝バジリスク〟だと？」
「__そう、ハーマイオニーが〝パイプ〟というヒントを出してくれたの。下水管の様な匂いとも一致するし__」

「余計な詮索はするな」

セブルスの言葉は思っている様なものでは無かった。

「マンドレイク薬が完成すれば、襲われた者が犯人を教えてくれるのだ__いいか、決して、首を突っ込むな」

ピシャリ、と言い放たれしまい、Aはがっくりと肩を落として満月の夜の中、医務室の布団に潜り込んだ。