白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ27)

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扉をノックして入ってきたのはダンブルドアとセブルス、フリットウィック先生だった。

「___発作の様なものが起きたと聞いたが、顔色が随分良くなっておって安心した」

「こんばんは、校長先生__セブルスが調合してくれたという薬のおかげです」

Aのその言葉に、セブルスはピクリと眉を動かした。

「マダムから症状は聞いておる___君も不安じゃろうが、これはなるべくしてなったことじゃった」

「一体どういうことです？」

ダンブルドアの言葉が理解できずに聞き返すと、セブルスが口を開いた。

「これまでの生活環境とは変わり___ここ数日で、君は身体の中に秘めていた魔法の力を学校内で頻繁に使う様になった。今までは〝人狼の血〟と君の中の〝魔力〟が反発し合い比例していたのにだ___」

「左様、セブルスの言う通り__いわば、〝人狼の血〟を抑えていた〝魔力〟が体外に放出される機会が増えた故に、君の中で無意識に作られてきたストッパーが弱くなってしまった。その為に、これまでに経験したことがない不調を機してしまったのだよ」

その話を聞いて、〝なるべくしてなった〟という点は合点がいった。

「しかし、それなら__〝人狼〟となってしまう日が近いのかもしれない、そういうことですか？」

「それに関してはなんとも言えぬ___賢い君なら、〝人狼〟についての文献を多く調べ、読んだことじゃろう？だが、〝半人狼〟についての文献は見つけていない。そうじゃな？」

ダンブルドアの言葉にコクン、と頷くと今度はフリットウィック先生が口を開いた。

「___私の様な〝半小鬼〟、ハグリッドのような〝半巨人〟これらはそれぞれの受け継ぐ血が濃いことから全ての者が半分の血を引く。だが、君の様な〝半人狼〟は私達の記憶に辿っても、事例がない。先天性の〝人狼〟が少なく殆どが後天性だから、大抵の〝人狼〟は子どもを産むことを避けるんだ」

これにはAも驚いた。どうやら、〝人狼〟となった者はその手で自らの命を絶つか、一生独身を貫きその血が子孫に残されない様にと考える者が多くいたようだった。

リーマス・ルーピンがAに血が受け継がれていると知って顔が青ざめてしまったのも頷けた。
事例がないのだ____

「満月の前後はマダムを訪ねることとし、症状が治るまでは医務室にいるのじゃA___都度、セブルスにも体調を報告する様に」

別れ際に見た、悲しそうなリーマス・ルーピンの顔が頭の中に浮かんだ。