白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ23)

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魔法薬のセンスが良かったAは、他の教科に関してもどの先生からも高評価をもらえた___読書好きと記憶力の良さ、持ち前の応用力がどの教科にも発揮された瞬間だった。

しかしながら、Aにはどうしても上手くいかない教科が一つだけあった。

___箒の飛行訓練だ。

高所恐怖症というわけではないが、一本の箒に跨って空を飛ぶこと自体が不安に感じてしまい___ある一定の高さまでは飛べるものの、他の生徒の様にスイスイと飛ぶ事は不可能だった。

「慣れればとっても楽しいのよ」

この教科はいつもグリフィンドールと合同で、Aはルーナとジニーにアドバイスをもらいながら挑戦してみてもなかなか上達はしない。

「マグル育ちの僕らからしたら、箒で飛ぶなんて物語の世界だもの」

カメラが趣味のコリン・クリービーもAと同じ様に箒が苦手な様子だった。彼はマグル生まれのグリフィンドール生だが、とてもフレンドリーな性格をしていて、あっという間に他寮のAとルーナと友達になった。

しかし、同じ様に箒が苦手なコリンよりも、Aの箒のレベルは酷かった。

「ミス・グレイディ、なかなか上達しないのは貴方だけですよ__休日に授業用箒の持ち出しを許可するから、誰か上手な上級生に頼んで自主練しなさい。いつまだもこのレベルだと来年の一年生と一緒にまたこの授業に戻ることになりますよ」

「はい、フーチ先生、、」

他の授業ではなかなか掛けられない先生からの落胆の声に、A自身も気持ちが沈んだ。

フーチ先生に呼び出されたAに一声掛けて、ルーナはジニー達と大広間に行ったので、話が終わったあとAは1人で大広間に向かった。

レイブンクローの一年生の間ではAとルーナは浮いた存在だった。故に、どちらかが一緒に居ない場合は1人で行動するしかない。

とぼとぼと、大広間に向かってはいたものの、飛行訓練の時から優れなかった気分がより一層悪くなってきた様に感じた。

___来週は満月だ。

だんだんと胃がムカムカしてきて、夕食どころではない、と思えたので大広間に行く足を止めようとした時に球技場の裏の広場で誰かがフワリと箒から降り立つのが見えた。

___ブロンドの、スリザリンカラーのネクタイ

「ドラコ？」

Aが思わず名前を呟くと、思っているよりも声が響き、箒を持った彼は驚いた様子で振り向いた。