白のリコリスが咲く【Harry potter】 (ページ24)

今日:11 hit、昨日:45 hit、合計:175,625 hit

20 ページ24

「Aじゃないか」

ドラコは嬉しそうに微笑み、箒を抱えながらAの側まで歩いてきてくれた。彼の腕の中の箒がピカピカと輝いていて、新品なのが伺えた。

「こんにちは、久しぶりね__それはドラコの箒？生徒は箒の持ち込みが禁止されていなかったっけ」

Aの疑問に、ドラコは嬉しそうに答えた。

「普通の生徒は、ね！僕は今年からスリザリンのクィディッチチームのシーカーに選ばれたんだ。この箒はニンバス2001__世界最速で最高級の箒さ！父上が買ってくれたんだ」

誇らしげに箒を見せてくれるドラコに、Aは素直に凄いと思った。あんなに箒に上手に乗れる上に、箒に乗りながら行う〝クィディッチ〟という競技の代表選手に選ばれたのだから。

「ドラコ凄いわ__きっとクィディッチも上手なのね」

Aのその言葉に、何故だがドラコは顔を真っ赤にさせた。

「き、君はどうなんだ___さっきまで飛行訓練だったんだろう？」
「壊滅的だわ___フーチ先生にこのままのレベルだと来年の一年生と一緒にまた授業に戻ってくることになると言われてしまって。私には才能が無いみたい」

落ち込むAの言葉に、ドラコは考え込む様に黙ってしまった。しばらくすると、Aの手を引いてぐんぐんと球技場の方へと歩き出した。

「ど、どこへ行くの？」
「いいから、こっちだ___」

ドラコが足を止めたのは、クィディッチのトロフィーが飾られた場所だった。彼はそこで何かを見つけると、『見てごらん』と言いながらAを呼んでそこを指差した。

_____

1986年優勝レイブンクロー
キャプテンビル・ゲイツ
チェイサーロキ・グレイディ
_____

そこには、Aの母の名前が刻まれていた。

「前に興味があって見ていたら見つけたんだ___君の母親は、ものすごく才能があったと聞いている。君にも、それは受け継がれているはずだ」

勇気付ける様にそう告げてくれたドラコにAは少しずつ自分が感じていた沈んだ気持ちがなくなるように感じた。

「ありがとう＿＿＿」

しかし、それでも、大広間に向かう際に感じた不快さは無くならず、自分でも段々と血の気が引くのがわかった。

「大丈夫か！？顔が真っ青だぞ___」

嬉しそうな顔をしていたAの顔色が段々悪くなるものだから、ドラコも慌て始めた。

もはやAは青白い顔をさせながら、コクコクと頷くことしか出来なかった。