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32.月光 ページ33

Asaid





「暫くこうしていても良いかい?」






「うん…!」





太宰さんの顔は見えないけど



何故か私には今太宰さんがどんな表情をしているのか判るような気がした







「心臓の音が凄く聞こえる」







「え?!」






「また、はやくなってる」





聞こえてる?!






「こ、こういう事…したことないから」







「ふーん
初めてが私でいいんだ?」








そんなの


私の初めてなんて太宰さんの為にあるようなものなのに






いいに決まってる






「莫迦…?」






「え…?
も、若しかして…!」






声に出てた?!






「ち、違う…!
特に深い意味とか、そういうのはない…!」







「そうやって期待させないでくれ給え」








「ん…!」





私の唇に暖かく柔らかい感触





これって






「い、今、き、」








「これはAのせい」







見えた太宰さんの顔は悪戯な笑顔







私はきっと今これまでにないほど顔が赤いだろう



だから、私は太宰さんから目を逸らした








「君は本当にうぶだねえ」









すると微笑みながら再び月を眺めた太宰さん







そう云えば


たしか、さっき貰ったナオミちゃんと与謝野先生からの指南書に



月が綺麗ですねってI love youの訳って書いてあった気がする





これなら私にも云えるかも







「太宰さん!」







「なんだい?」








「つ、月…がさあ」









「うん」






綺麗


それを云うだけ







「き、き…」









「き?」








「黄色いね!」




すると太宰さんはふふっと笑った






「そうだね、黄色い」






あああ

云えなかった






如何して…?




こんなに短い言葉なのに








「死んでもいい程に」





「え?」





死んでもいいって確か






「さあ、風邪をひくから中に入ろうか」





私は気がつけばこの場を離れようとしていた太宰さんの手を掴んでいた







「わ、私ね!す、好きな人が…いるの!ずっと前から…!」







今云わないと

伝わらない気がした



太宰さん

太宰さんと云うだけ




でも、矢っ張り





「私の、め、目の前にいると云うか…何というか」






太宰さんが好き




その言葉が口から出ない





「私の好きな人も目の前にいるよ
今、私の手を掴んでね」





私はずっと逸らしていた目を太宰さんに向けた





「私と付き合ってくれ」





後ろの月は凄く綺麗だった

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト , 太宰治   
作品ジャンル:恋愛
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中二病メープル - 太宰さんツンデレ?好きな女の子には嫌がらせしたい的な。すっごく面白いです! (12月3日 9時) (レス) @page36 id: e52a8096f8 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 凄く面白かったです!これからも、更新楽しみにしてます!頑張ってください(*^-^) (2018年3月26日 16時) (レス) id: fb750e4c11 (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - 響華さん» あ!!お恥ずかしい…笑ありがとうございます! (2018年3月3日 21時) (レス) id: 170cdda07e (このIDを非表示/違反報告)
なの(プロフ) - ウンディーネさん» ファンですか……?!こんな駄作に…ありがとうございます!頑張りますっっ!! (2018年3月3日 21時) (レス) id: 170cdda07e (このIDを非表示/違反報告)
響華 - said×→side○ (2018年2月12日 18時) (レス) id: 86c88d0ffc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なの | 作成日時:2017年11月2日 19時

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