花散る前に雪よ舞え【太宰治】

12.凝視 ページ13

Asaid






これでいいの、かな？



太宰さん達が来てから数分後







「やれやれ…
莫迦だとは思っていたがこれ程とは」







「自 殺愛好家の才能があるね
彼は」







呆れる国木田さんに
笑っている太宰さん






よかった


無事に今回の入社試験は自分の役割をこなして終われた気がする






でも、





「Aは何時まで私の後ろにいるつもりだい？」








「うっ…」







初対面の人は尽く苦手









「え？！」




太宰さんに車椅子を押されて前に出される








「あっ！えっと…」









「太宰は朝比奈を苛めるな」








私は太宰さんに変わり国木田さんの後ろについた








「その対人恐怖症はいつ治るんだか
入社試験も危うく失敗に終わるところだったよ」








危うく…かあ






「入社……試験？」






「その通りだ」





「社長」






「しゃ社長？！」






扉が開いたかと思うと入って来たのは社長




と、いう名の私の命の恩人







「そこの太宰めが『有能なる若者がいる』と云うゆえ
その魂の真贋試させてもらった」









「君を社員に推薦したのだけど如何せん君は区の災害指定猛獣だ
保護すべきか社内で揉めてね」








矢っ張り、災害指定猛獣なんだ






こうやって見ると普通の人だけど…


矢っ張り、異能力って凄い







「で、社長の一声でこうなったと」







「で社長……結果は？」






社長はじっと睨んだ








「太宰に一任する」








「合格だってさ」









「凄い…」




思わず零れた声






「つ、つまり……？
僕に斡旋する仕事っていうのは
此処の………？」





太宰さんはクスリと笑った





「武装探偵社へようこそ」

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