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悲鳴が聞こえたのは店の外から。店内にいる全員の視線が同じ方を向く。

すぐさまポアロから飛び出したのは小日向と安室さんと俺の3人。

向こう側の歩道からだ。車の行き交う道路を渡り、アスファルトにへたりこんでいる女性に声をかけた。


「どうしたの!?」

「ひ、人が…!」

「……っ!」


彼女が指さしたのはそばに停められていた車の後部座席。

そこには、頭から血を流してドアに寄りかかっている男性がいた。

安室さんが助手席側のドアノブを引けば、鍵はかかっていなかったらしくすぐに開いた。


ワンテンポ遅れて追いついた小日向が息を呑む。

携帯を手にした彼女は、かすかに震えた声で安室さんに聞いた。


『…救急車は』

「…いや、警察だけでいい」


その言葉に、小日向は1歩後ずさってから110番を押した。

当たり前のように流れた会話を気にしている暇はなく、遺体の状態を確認する。

そして悲鳴を上げた女性にいくつか質問をしていれば、蘭が歩道を走ってくるのが見えた。


「コナンくん、一体なにが…」

『待って毛利さん!』

「へ?」


小日向が慌てて蘭の前に手を広げて止める。

目を丸くした蘭に、彼女は『あ…』と小さく声を零して決まりの悪そうな表情をしてから続けた。


『その…人が亡くなってて…あんまり見ない方が…』

「えっ!?」


蘭は声を上げて俺の方へ目を向ける。

1拍置いて、小日向が不安げに零した。


『ごめん、余計なお世話だった?』

「あ、ううん!そんなことないよ!」


パタパタと手を振った蘭は、軽くはにかんで言う。


「ありがとう、小日向さんって優しいんだね」

『へ…』


珍しく目を丸くして固まる小日向。

そんな二人のやり取りを横目で見ていたせいで、安室さんの声に気がついていなかったらしい。

トン、と肩を叩かれて、ようやく彼の方を向いた。


「コナンくん、聞いてるかい?」

「え、あ、ごめん、なに?」


安室さんは今まで俺が向けていた視線を辿り、小日向を見る。

そして膝を折って俺に尋ねた。


「そんなにあの子が気になるのかい?」

「え?いやそういうわけじゃ…
安室さんこそ、Aお姉さんのこと随分構ってるように見えるけど」

「はは、僕かい?まぁ可愛らしい子だとは思うけどね」

「………はい?」


らしからぬ発言に思わず顔を凝視すれば、安室さんは何事もなかったかのように状況の整理を始める。

…だから一体なんなんだよ、この二人。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

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