検索窓
今日:84 hit、昨日:268 hit、合計:948,738 hit

08 ページ9

その後、事件は無事に解決し、犯人も警察に連れていかれた。

安室さんはポアロが混んできたからと店に戻っていく。

歩道にまたいつも通りの喧騒が戻り、これで一件落着。

…と思ったが、違った。

今回の事件の真相を探っていた時、小日向はずっと俺のことを見ていた。それはもう隠す気なんてゼロのガン見。

少し考え込むようにその場に佇んでいた彼女は、隣にいた蘭に声をかけた。


『ねぇ毛利さん』

「ん?なに?」

『工藤って修学旅行来るの?』

「え?あ、うん!来れるみたいだよ!」


そんな会話にギクリと体を強ばらせる。

またもや凍りつきそうな視線が背中に突き刺さる。もう嫌だこいつまじで怖い。

そっか、と零れ落ちた声に滲むなにかが鼓動を早まらせる。

そんな俺の気なんて露知らず、蘭は小日向に声をかけた。


「そうだ!小日向さん、もし良かったらなんだけど…修学旅行、私たちと一緒に回らない?」


予想外の言葉に思わず「えっ」と声を上げて振り返ってしまった。

やべえ。世良以上に気をつけないといけない奴が増える。

いや小日向のことは嫌いじゃないけど、修学旅行中はなにがなんでもバレないように気をつけないと…

しかし、そんな俺の考えに反し、小日向は一瞬キョトンとしてから考え込む。

そして顔を上げて答えた。


『ごめん、私修学旅行は行かないんだよね』

「え、そうなの!?」

『うん、だから工藤に会ったら言っといてもらっていい?』


そこまで言ってから、小日向は明らかに俺の方を見て続けた。


『そんなに休んでたら次のテスト私に負けるよって』


めっちゃ見てるめっちゃこっち見てるこいつ絶対気づいてる!!

もうここまで来たら乾いた笑いしか出てこない。

でも修学旅行に来ないのなら、証拠を掴まれる危険度はかなり減る。


なんて。俺はまだこの時小日向のことを舐めていたのだ。

彼女の瞳の既視感の正体に気づかないまま、俺は京都へと旅立つ。

09:マシュマロ→←07



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (617 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1505人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

紅个 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅狐 - ◎ (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
紅湖 - 面白い (7月18日 9時) (レス) @page2 id: 5d6bcaafb9 (このIDを非表示/違反報告)
カルビ(プロフ) - はい!降谷さん格好よく書けてます!!大好きです!!良かったらボードで話しませんか?降谷さん語りましょう!! (2019年4月8日 16時) (レス) id: 36c4c5cb96 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 1さん» ありがとうございますー!続編でも頑張りますね!よろしくお願いします! (2019年4月5日 21時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:立夏 | 作成日時:2019年3月3日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。