071:クレマチス ページ26
『な…っ!爆発!?』
「爆弾なんかいつの間に持ち込んで…!」
後輩くんと2人でモニターを見上げるが、今の爆発で監視カメラが完全に壊れてしまった。
いくつか生き残ってる物もあるものの、ほとんどなにも映らない。
『…っ降谷さん!降谷さん、聞こえますか!?』
呼びかけてみてもイヤホンの向こうからは耳障りなノイズしか聞こえない。
イヤホンか携帯が壊れたか、妨害電波を飛ばされてるか、それはわからないけどこれでは安否を確認することもできない。
最後の最後で悪あがきしやがって!全部諸共吹き飛ばして死ぬつもりか!?
『くそ!』
この状況でこんな場所にいてももう意味なんてない。
舌打ちして走り出そうとしたが、しかしそんな私の手を後輩が掴んだ。
「ちょっとAさん、どこ行く気ですか!?」
『決まってるでしょ、現場に…!』
「ダメですよ!危険すぎます!
まだ爆発するかもしれないですし狙撃手がいる可能性だって…」
『じゃあ自分だけ安全なところで待ってろって言うの!?』
鼓動がいつもより早く脈打つ。
大切な人が生きてるのか死んでるのかわからない不安。
前にも感じた。景光さんが死んだあの日だ。
トラップだと気づいた時にはもう自分にはどうしようもなかった。祈ることしかできなかった。
『もう連絡を待つだけなんて嫌なの…!お願い行かせて!』
「……っ」
彼は顔を歪めてしばらく黙って俯く。
そしてやがて顔を上げ、躊躇いがちに車のキーを手にした。
「いいんですね?」
『当たり前でしょ』
「…わかりました、行きましょう」
私の手を離して走り出した彼のあとを追う。
数少ない監視カメラには燃え盛る炎が映っていた。
1569人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
びびか(プロフ) - この作品の作り込みが凄すぎて本当に好きです。。素敵な作品に出会えて良かったです!ありがとうございました! (2023年3月27日 20時) (レス) @page32 id: b527a1d6e3 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 想像するだけでこっちが照れてくる (2021年12月7日 15時) (レス) @page30 id: 9e519c38d5 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ほぉ…これが降谷さんとの至高の領域だな???ちょっと最上級の語彙力調達してきますね?手持ちの語彙じゃこの素晴らしさは語れないので!!!! (2021年4月30日 23時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - あむむさん» 完結してからしばらく経ってるのに見つけてくれてありがとうございます…!!そんなに褒めて頂けるなんて嬉しすぎて私の心臓が取れます…!25機も消失してご無事ですか!?笑 最後まで読んで下さりありがとうございました!! (2018年11月9日 17時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
あむむ - 初めまして。どうにもこうにも我慢出来なくてコメント失礼します!泣きましたキュンキュンしました心臓取れました辛すぎましたその文章力に脱帽しました!25機くらいは消滅しました…!完結おめでとうございます。お疲れ様でした! (2018年11月8日 21時) (レス) id: eaf01be664 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:立夏 | 作成日時:2018年9月21日 21時