056:ローズマリー ページ11
降谷side
『初めまして!今日からお世話になります、赤井Aです!
運動神経は皆無ですけど、ハニートラップとハッキングなら得意です。きっとお役に立って見せますよ!』
あいつが公安に来た時の最初の挨拶はそれだった。
その言葉通り、彼女の情報収集の腕はかなり高かった。
けれどこれまたその言葉通り、実技の方は驚くほどからっきしだった。
お前は警察学校で何を学んできたんだと言いたくなるほどの酷さ。
足は遅いし力は弱いし銃を撃たせれば隣のレーンの的に当てるへっぽこっぷり。
これでもマシになった方なんですよ!?とか言ってたが、これより酷いなんて想像もつかない。
冗談じゃない。そんな奴にハニートラップなんかさせられるか。途中で何かあったらどうする気だ。
というわけでその日から俺とAの猛特訓が始まった。
才色兼備、しかし超ド級の運動音痴な彼女は俺がしばき倒してもなかなか腕を上げない。
けれど根性だけはある奴で、『降谷さんの鬼!ボケナス!可愛い顔してドンキーコング!』と文句を言いながらも必死についてきていた。
その努力も少しずつ実になって、ようやく人並み程度には戦えるようになってきて。
どれだけ俺にボロカス言われようとも食らいついてくる彼女に、隠しようもなく確実に惹かれていって。
そんな時に笑って傘を差してくれた彼女に落ちるのは当然だった。
多分っていうか、絶対バレていたと思う。
お互いハニートラップを得意としているのだ。
相手が自分に向ける好意なんてなによりも敏感に察知する。
俺だって、あいつが俺に向けてくれている感情にはなんとなく気づいていた。
お互い何も言ってないのに気持ちだけが筒抜け、というなんともおかしな状況だった。
けれど、俺はその状態をなんだかんだ居心地良く思っていた。
景光からは「両思いだってわかってるならさっさと告ればいいのに」なんて言われていた。
でも俺は、いつかそのうちちゃんと告白しようだなんて、呑気に考えていたのだ。
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びびか(プロフ) - この作品の作り込みが凄すぎて本当に好きです。。素敵な作品に出会えて良かったです!ありがとうございました! (2023年3月27日 20時) (レス) @page32 id: b527a1d6e3 (このIDを非表示/違反報告)
わか - 想像するだけでこっちが照れてくる (2021年12月7日 15時) (レス) @page30 id: 9e519c38d5 (このIDを非表示/違反報告)
よる - ほぉ…これが降谷さんとの至高の領域だな???ちょっと最上級の語彙力調達してきますね?手持ちの語彙じゃこの素晴らしさは語れないので!!!! (2021年4月30日 23時) (レス) id: 6e0ab3a00d (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - あむむさん» 完結してからしばらく経ってるのに見つけてくれてありがとうございます…!!そんなに褒めて頂けるなんて嬉しすぎて私の心臓が取れます…!25機も消失してご無事ですか!?笑 最後まで読んで下さりありがとうございました!! (2018年11月9日 17時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
あむむ - 初めまして。どうにもこうにも我慢出来なくてコメント失礼します!泣きましたキュンキュンしました心臓取れました辛すぎましたその文章力に脱帽しました!25機くらいは消滅しました…!完結おめでとうございます。お疲れ様でした! (2018年11月8日 21時) (レス) id: eaf01be664 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年9月21日 21時