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19.思色 ページ21

「まずはポーラーからだ」


歩きながら、赤井はそう言った。

俺は見たことはあっても話したことはない。

しかし彼は実際話したのだろう。

貴重な情報に大人しく耳を傾ける。



「大体は普通の女だったが…妙に人の懐に入るのが上手い奴ではあったな。
人を安心させて自分側に抱き込むのが上手い。」

「…なら、僕達を恨む残党を集めるのもたやすそうですね」

「ああ。年齢は恐らく俺の少し上くらいだ。
戦闘はもちろんだが頭も切れるらしい」

「へえ…」


FBIと情報交換なんて不本意すぎるが、それを仕方ないと思えるくらいにあの2人の情報は少ない。

1年前の俺なら絶対にしなかっただろうが、今ではなんとか堪えられる程度には認識を改めている。



「それと、シャトーは彼女の子供だという噂も聞いたことがある」

「…それは恐らくデマですね」

「……君はシャトーの話になると目付きが変わるな。
なにか特別な思いでも抱いているのか?」


その言葉に思わず歩みを止めそうになった。

はは…相変わらずよく見てる。

図星だ。確かにそうだ。

あの子は、シャトーは……


「シャトーは、僕がずっと助けたかった女の子です」


赤井が少し目を見開いた。

そして足を止め、顎に手を当てる。



「少女か…」

「いえ、もしかしたら少年だったかも。
お面とダボッとした服で、顔も体のラインも隠れてましたし。
大体中学生くらいに見えました」

「そんな子がマシンガンをぶっぱなすのか?」

「だからこの前あなたにそれを聞いた時、びっくりしたんです」


そう言いながら俺はまた歩き出した。



「ポーラーの実の子でないことは本人から聞きました」

「どこで出会ったんだ?」

「組織の拠点の1つですよ、向こうから声をかけてきたんです。
何度か会って話をしたんですけど、ある日ぱったり会わなくなって…」


そしてそれから、1度もあの子には会っていない。

何度も会おうとした。

コードネームを貰って、ツテを酷使して、どうにかシャトーまで繋ごうとした。

それでも無理だった。

組織が壊滅して、やっと会えると思ったのに彼女はまだ捕まっていない。



「多分、彼女を引き抜かれるのを恐れたポーラーが、シャトーの人との関わりを極端に制限していたんです」

「なるほどな…それで、助けたいとはどういうことだ?」


その時、ちょうど会議室の扉が見えた。


「…もう十分でしょう。言えるのはここまでです」


俺はそう返して、扉を開けて赤井から離れた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 立夏さん» んふふ!良かった!同じですね(*´▽`*) (2021年1月20日 19時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 如月.夜月(きさらぎ よつき)さん» えっっっっめっちゃいいですねそれ最高ですね!!!??(笑)私もめちゃくちゃ見たいです!!!!!!! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ムースさん» わ〜!そんなにたくさん読んで頂けるなんて本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2021年1月20日 2時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
如月.夜月(きさらぎ よつき)(プロフ) - 安室さん(怪我)、狂犬ちゃん(真顔)にお姫様抱っこされてほしいな… (2021年1月17日 13時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ムース - 3周目です!好きすぎる! (2020年12月12日 21時) (レス) id: 38b2fa8d4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年7月6日 23時

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