検索窓
今日:61 hit、昨日:228 hit、合計:867,418 hit

50話 ページ7

『…ん?ひみつのへや?』


掘り返した思い出の中の言葉を反芻した。


ひみつのへや。秘密の部屋。


………え!?なにそれめっちゃ怪しくない!?

ゲームだったら間違いなく重要なアイテム落ちてるでしょそこ!??


いやいやこれはなんとしてでもそこに行かなくては。

思い出せ私!!どこをどうやったら行けるんだっけ!?

赤い本をどうするんだっけ!?



とりあえず落ち着こうと小さく深呼吸する。

あの日、あの子はなんて言ったっけ。

頭の中で幼き日の伊織くんの声が響いた。



“Aちゃん!特別にひみつのへやへの行き方を教えてあげる!
まずはね!ここを押すんだよ!”



得意気に言った彼は、赤い本をグッと前に押し込んだ。

記憶の通りに、赤い本の背表紙を押す。

するとバサッと音がして、今度は青い本が落ちてきた。


やっぱり見覚えがある。

拾って中を開くと、金色の小さな鍵が挟まっていた。

えーと、次は…



“そしたらね、緑の本を探すんだよ!”



頭の中でまた声がする。

緑の本…さっき見たような…あぁ、あった。

よく見てみれば、ちょうど鍵に合いそうな穴が開いていた。


…そうだ、前に教えて貰った時はここで伊織くんのお父さんに見つかって怒られたんだ。

だから私はあの時、結局この先には行ってない。



ゴクリと唾を飲み込んで、鍵を差し込む。

ゆっくり右へ回す。

カチリと何かがハマった音がした。


『うわっ』



数秒後、壁の本棚が1人でに動き出した。

扉は本棚。鍵穴は本。

開いたそこには、赤いカーペットの細い廊下。


ゆっくりと慎重に廊下へ踏み出す。

この先には何があるのだろうか。


武器倉庫?それとも麻薬保管庫?

金庫の可能性もあるか。


そう思いながら角を曲がる。

しかし、そこにあったのは予想にかすりもしていない部屋だった。



『…へえ、良い趣味してる』


武器倉庫でもなんでもない、アンティークな家具で飾られた小部屋。

机の上にはペンやインク、書類、パソコンなどが無造作に置かれている。


なんだ…ただの籠るための執務室か。

書類も仕事関係のものばかりだな。

伊織くんのお父さんは神経質だったし、1人で仕事したいこともあったのだろう。



…さて、思っていたようなものがあったわけではないが、これはこれでOK。

パソコンがあるのだ。

書類の日付から見て、ここは今も伊織くんが使ってる。

恐らくこれは伊織くんの物だ。

よーし、それではちょっくら覗かせてもらいますか!

51話→←49話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1036 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2816人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ひなた(プロフ) - 読ませていただきました!初めてゴリラを好きになれた作品なので感謝しております!そして、少し気になったのが、「緑川」というキャラでおそらく諸伏くんの声優さんと名前がごっちゃになってしまい諸伏くんを緑川と書いたものだと思いますがそこが少し気になりました。 (2022年4月30日 21時) (レス) id: dd9bdc737b (このIDを非表示/違反報告)
りーくん - 待って最後の宣伝のやつ二つとも知ってんだけどwwww (2021年9月1日 21時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 椎名桃乃さん» わー!ありがとうございます…!そんなそんなもったいないお言葉ばかりですがとっても嬉しいです!見つけてくださってありがとうございました!どうぞお暇潰しにでもゆるりと読んで頂けたらと思います!笑 ありがとうございました! (2019年5月26日 18時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - 狂犬ちゃんを読んでぼろっぼろに泣いて、それから此方の作品を見付けて、いい話だなーとほっこりさせて頂きました!立夏さんは文才力が半端ないですね…!他の作品も読んでみたいと思います! (2019年5月24日 21時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ウィンディ-lilac-さん» わぁぁありがとうございます!!とっくに完結した作品なのに見つけて下さって感謝しかありません…!本作は初めて書いた降谷夢なのでとても嬉しいです!狂犬の方まで本当にありがとうございます!これからもいっぱい文字書きますね!! (2018年8月27日 20時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月10日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。