63話 ページ20
「やり直し」
『はい??』
やっと書き終えた報告書が目の前に突き返される。
もう何度目かわからないそれに、私は笑顔で固まった。
この報告書を提出し終われば、あとは小さな仕事をいくつか片付けて終わり。
やっと零の家にある荷物を纏めに行く時間が出来る。
だというのに、この降谷零とかいう閻魔様。
ダメ出しばっかりで全くOKを出しやがらないのだ。
『え?今度はなにがダメですか?もう何回目だと思ってるんですか??かんっぺきな報告書だと思うんですけどぉ!?』
「睨んでも無駄だからな」
そう言って零はてきぱきと修正すべき箇所を言い並べていく。
確かにその通りだな、と思うところばかりだ。
いや、思うんだよ。そっちの方が良いなと納得せざるをえないんだよ。
でもちょっと厳しすぎやしませんか??
言われた箇所はきもいくらい細かいところばっかり。
普通だったらもうとっくにOKが出てる。
「それ全部直したら、もう俺に見せずに提出していいから」
『くっそこの変態鬼上司!!!』
「待て、変態はどっから出てきた」
知るかそんなもん。
差し出された分厚い報告書の束を乱暴に引っ掴んでその場を去ろうとする。
しかし、彼は更に悪魔の言葉を続けた。
「A、あと資料纏めと書類整理、それと例のやつ確認取ってから…」
『は!?ちょ、ちょっと待って!?』
何言い出すのこいつ!?
疲労困憊の部下にまだ追加の仕事を!??
私の静止も聞かずに零はつらつらと呪文を連ねる。
そしてようやく言い終わってから、ニッコリとあのパーフェクトなキラキラ安室スマイルで一言。
「よろしくお願いしますね、Aさん♡」
『上っ等だこの野郎!!!速攻で終わらせてやる!!』
「はは、がんばれ」
ヒラヒラと手を振る零をキッと睨みつけた。
寝不足が祟り、意地になって言われた仕事を全て片しに行く。
なんなの、あの人でなし鬼ゴリラ!やっぱり生まれは原生林の奥地だ!!
この命令を受けたことで零の家にいられる時間が増えたことに気づいて複雑な気分になるまで、あと半日。
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ひなた(プロフ) - 読ませていただきました!初めてゴリラを好きになれた作品なので感謝しております!そして、少し気になったのが、「緑川」というキャラでおそらく諸伏くんの声優さんと名前がごっちゃになってしまい諸伏くんを緑川と書いたものだと思いますがそこが少し気になりました。 (2022年4月30日 21時) (レス) id: dd9bdc737b (このIDを非表示/違反報告)
りーくん - 待って最後の宣伝のやつ二つとも知ってんだけどwwww (2021年9月1日 21時) (レス) id: 6d65fc1765 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - 椎名桃乃さん» わー!ありがとうございます…!そんなそんなもったいないお言葉ばかりですがとっても嬉しいです!見つけてくださってありがとうございました!どうぞお暇潰しにでもゆるりと読んで頂けたらと思います!笑 ありがとうございました! (2019年5月26日 18時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
椎名桃乃 - 狂犬ちゃんを読んでぼろっぼろに泣いて、それから此方の作品を見付けて、いい話だなーとほっこりさせて頂きました!立夏さんは文才力が半端ないですね…!他の作品も読んでみたいと思います! (2019年5月24日 21時) (レス) id: 87ecca1cfc (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - ウィンディ-lilac-さん» わぁぁありがとうございます!!とっくに完結した作品なのに見つけて下さって感謝しかありません…!本作は初めて書いた降谷夢なのでとても嬉しいです!狂犬の方まで本当にありがとうございます!これからもいっぱい文字書きますね!! (2018年8月27日 20時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年6月10日 21時