30話 ページ31
後ろは壁。
横には零の手。
長年の付き合いでも経験したことのない距離。
いわゆる壁ドン。
そんな状況になっていると気づいたのは少し遅れてからだった。
身長差ゆえに私が顔を上げる。
相変わらずスカイブルーの瞳は不機嫌そうに揺れていた。
それでも私の視線を捉えたまま離さない。
少しずつ心拍数が上がり出す。
じわじわと顔に熱が集まるのを感じた。
『れ、れい…？』
戸惑いながら名前を呼んでも返事は返ってこない。
なんで。
なんで何も言わないんだこいつ。
さっきから零の考えてることが全くわからない。
なにか言ってよ、早くこの変な空気を切ってよ。
しかしそう願う私とは裏腹に、零は私の頬に手を伸ばした。
顔の横の髪をすくわれて、零の手が耳の裏を撫でる。
『……っ』
いきなりのことにビクッと体が跳ねた。
一気に顔が赤くなる。
そんな私に零は少し驚いたような顔をしてから、小さく笑った。
あ、やばい。
本能的にそう思って後ろへ下がろうとする。
しかしあるのは壁。逃げることは許されない。
待って、ただでさえ至近距離なのになんでまだ近づいてこようとするの。
完全に固まってしまって身動きひとつ取れない。
ゆっくりと顔を近づけてきた零は私の耳元で囁いた。
｢耳、弱い？｣
『ひぁ…っ！』
意図せず出た甲高い声に慌てて口を塞ぐ。
な、なななななんて声出してるのよ私！
相変わらずのサラサラの零の髪が首筋に当たった。
それすらくすぐったくてギュッと目を瞑る。
その直後、零が動いたと脳が判断した瞬間、カプリと耳を甘噛みされた。
『な…！？うぁ…！』
いよいよ脳内はパニックである。
状況が理解できない。今何が起こっている？
考えようとしても思考がそっちへ向いてくれない。頭が回らない。
熱に浮かされてよくわからない感覚が溢れ出て、何も考えられない。
『やぁ…っ！ふ…れ、れい…！』
呼びかけても攻撃はやまない。
ずっと舐められたり噛まれたり、執拗に耳ばかり攻められる。
まずい。本当にまずい。
膝が震えだした。もう腰が抜けそうだ。
そんな私を見て、零はまた悪戯っぽく笑う。
そしてそのまま耳元で呟いた。
｢──で、これのどこが大丈夫なわけ？｣
『……っ！』
その一言で一気に脳内の霧が晴れた。
『うわぁぁぁあ！！！！』
｢は！？いっった！！！｣
私は力任せに零の腹を蹴飛ばした。
不意をつかれた零が離れる。
その隙に慌てて壁際から離れた。
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立夏(プロフ) - 坂竹会長さん» わわわほんとですね…！ありがとうございます！直しておきます！ (2018年9月30日 21時) (
レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ30、あんなとこでが、あんたとこでになっております。間違っていたらすみません。 失礼しました。 (2018年9月30日 20時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 立夏さん» まさか見ていただけてるとは……！夢主ちゃんがどうなるか続きが気になります……。お互い更新頑張りましょう笑 (2018年6月7日 9時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - mリンさん» わぁぁmリンさん！初めまして！私もmリンさんの小説いつも楽しみに読ませてもらってます！！本人の前で素直になれるのはいつになるやら…という感じですが応援していただけると嬉しいです笑 ありがとうございます！頑張ります！ (2018年6月5日 23時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - お初にお目にかかります。ちょっと素直になってきた夢主ちゃんがたまらなく可愛いです………。このお話本当に好きです。私のとこの夢主とはえらい違いが……笑 続き楽しみにしてます、更新頑張ってください！ (2018年6月5日 23時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：立夏
| 作成日時：2018年5月20日 18時
