23話 ページ24
カツンカツンとマンションの廊下に二人分の足音が響く。
お互い仕事は終え、時刻は午後8時。
これから久しぶりの宅飲みである。
『で、なに持ってきたの?』
「日本酒」
『あんた本当それ好きね…』
予想通りすぎる答えが返ってきて、思わず顔が引きつった。
こいつの愛国心はたまに変な方向に突っ走るのだ。
日の丸弁当を嫌がらせで渡したら何故か喜ばれた時は流石にちょっと引いた。
日本酒でフランベをしたと嬉嬉として料理を持ってきたこともあったっけ(めっちゃ美味かった)。
自分の部屋の前で鍵を取り出しながらチラリと隣を見る。
『いかにも洋酒飲んでそうな見た目してんのになぁ…』
「文句があるなら飲まなくていいんだぞ」
『そんなわけないでしょ。
私、お酒は博愛主義で───』
そこまで言って、鍵を差し込む手をピタッと止めた。
──留守中、家に誰か入った。
扉に仕掛けていた簡単なトラップが、それを語っている。
人から恨みを買いやすい仕事だから念の為にしていたことだけど…
まさか本当に役に立つ日が来るとは。
一気に警戒を身に纏う。
同じように気がついた零が、黙って私の前に割り込んだ。
目を合わせて頷きあってから、零がドアノブをゆっくりと下ろす。
人の気配はしてない。多分侵入者は今はもういない。
それでも油断はしてはならない。
静かに家の中に入り、全ての部屋のドアを開け放った。
…やっぱり誰もいない。
一旦息をついたが、まだまだやることは残っている。
お互いに言葉を交わすことなく、次の作業に取り掛かった。
零が盗聴器発見機を取り出したのを横目に、引き出しや押入れを1つ1つ見て回る。
盗られた物はなさげだ。
空き巣というわけではなさそう。
それでも少しだけ物が動いている。何かを探した跡だ。
しかし、アクセサリーや文房具が入っている場所には手をつけていないようだ。
続いて本棚を見る。
重要書類を纏めてあるファイルの部分だけが誰かが動かした痕跡があった。
うーん…目的は個人情報か?
そこまで考えたところで、後ろから零の声がした。
「盗聴器、全部外した終わったぞ」
『あぁ、ありがと…うわ多くない!?きっしょ!』
振り向くと、そこにはありとあらゆる形の盗聴器がどっさり。
いやいやどんだけ聞く気だったんだ。
流石に気持ち悪くて軽く鳥肌が立つ。
これは書類云々よりこっちが目的だったんじゃないだろうか。
軽く深呼吸して、逸る心臓を落ち着かせた。
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立夏(プロフ) - 坂竹会長さん» わわわほんとですね…!ありがとうございます!直しておきます! (2018年9月30日 21時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ30、あんなとこでが、あんたとこでになっております。間違っていたらすみません。 失礼しました。 (2018年9月30日 20時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 立夏さん» まさか見ていただけてるとは……!夢主ちゃんがどうなるか続きが気になります……。お互い更新頑張りましょう笑 (2018年6月7日 9時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - mリンさん» わぁぁmリンさん!初めまして!私もmリンさんの小説いつも楽しみに読ませてもらってます!!本人の前で素直になれるのはいつになるやら…という感じですが応援していただけると嬉しいです笑 ありがとうございます!頑張ります! (2018年6月5日 23時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - お初にお目にかかります。ちょっと素直になってきた夢主ちゃんがたまらなく可愛いです………。このお話本当に好きです。私のとこの夢主とはえらい違いが……笑 続き楽しみにしてます、更新頑張ってください! (2018年6月5日 23時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年5月20日 18時