検索窓
今日:138 hit、昨日:719 hit、合計:1,639,865 hit

22話 ページ23

「にしても、遊佐グループの御曹司が許婚って…」


ガラスを掃き終えた零は、私の顔をじっと見て言う。


「お前、もしかしてあの白石家の…?」

『……』


目を逸らしてさっき出されたカフェオレを一口飲んだ。

沈黙は肯定の証。

零はカウンターに肘をついて、へぇ…と呟く。


「相当なお嬢様だったんだな」

『それも元、よ。
警察官になるって言ったその日に勘当されたから。
今はお嬢様でもなんでもない、ただの公務員よ』


昔から曲がったことが嫌いだった。

親たちが行っている汚いお金のやり取りを間近で見ながら、私は幼いながらに思ったのだ。

こんなことはしたくない。

将来は正義の味方になってやろう、と。

それに、ずっとあの家のお人形さんでいるのは嫌だったのだ。



『ていうか、伊織くんだって許婚っていうより幼馴染って感じよ。
私、他のお嬢様達が好きじゃなかったけど…唯一彼とは仲良くしてたの』

「ふーん…」


零はそのままちょっと考え込むように下を向いた。

甘すぎるカフェオレを飲みながら、ガムシロップを入れすぎたなぁなんてぼんやり思う。

そうして少し時間が流れたとき、零が顎に手を当てながら言った。



「……お前さ、その幼馴染に告白されたりした?」

『え?』

「あ、いや……」

『な、なんでわかったの…!?』

「え」


お互いに目を丸くする。

いやいやいや、それもう10年以上前の話なんだけど。

なんで知ってる!?誰にも言ってないのに!


「な、なんとなく?」

『なんとなくって!?』

「い、いや、気にするな」

『するわよ!』


お得意の洞察力もここまで来ると怖い。

そんなとこまで普通わかるか?

それともなんだ、私と伊織くんのどっちかがわかりやすかったのか?


じーーーっと見つめたら、零は目を逸らして食器洗いを始めた。

どうやら話の続きをする気はないらしい。

うーん、こうなるともうダメだな…

ちょうどカフェオレもなくなったし、私は大人しく諦めて席を立った。


「あ、A」

『んー?』


財布を出しながら返事をすると、零は珍しいことを口にした。


「今日、部屋行っていい?」

『へ?』


要するに飲もうってことだろう。

普段はお酒が好きな私から誘うことの方が多かったからちょっとびっくり。


『いいよ、お酒持ってきてよね』


笑って言うと、零も同じように了解、と笑った。

23話→←21話 ▽Home



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (737 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2479人がお気に入り
設定タグ:名探偵コナン , 安室透 , 降谷零   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

立夏(プロフ) - 坂竹会長さん» わわわほんとですね…!ありがとうございます!直しておきます! (2018年9月30日 21時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ30、あんなとこでが、あんたとこでになっております。間違っていたらすみません。 失礼しました。 (2018年9月30日 20時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 立夏さん» まさか見ていただけてるとは……!夢主ちゃんがどうなるか続きが気になります……。お互い更新頑張りましょう笑 (2018年6月7日 9時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - mリンさん» わぁぁmリンさん!初めまして!私もmリンさんの小説いつも楽しみに読ませてもらってます!!本人の前で素直になれるのはいつになるやら…という感じですが応援していただけると嬉しいです笑 ありがとうございます!頑張ります! (2018年6月5日 23時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - お初にお目にかかります。ちょっと素直になってきた夢主ちゃんがたまらなく可愛いです………。このお話本当に好きです。私のとこの夢主とはえらい違いが……笑 続き楽しみにしてます、更新頑張ってください! (2018年6月5日 23時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:立夏 | 作成日時:2018年5月20日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。