19話 ページ20
そう、パーティーになんて滅多に顔を出さなかった。
知らない人達の前でずっと笑っていなければならないあんな場所、出来る限り行きたくなかった。
だから今の私のことを見て白石家の娘とわかる人なんて、ほとんどいないだろう。
いるとしたら精々1人くらいなものだ。
だから…このパーティーにだって、まさか私のことを知ってる人がいるとは思ってなかったのだ。
「あれ、Aちゃん?」
『え』
…“精々1人”の、その本人がいるだなんて思ってなかったのだ。
懐かしい声にギギギギと首を動かす。
隣で零が少し目を見開くのがわかった。
振り向いた先には、びっくりしたような表情の見知った顔があった。
『い、伊織くん…』
「わ〜!本当にAちゃん!?久しぶりだね!」
『そ、そうね…お元気そうで…』
「ボクは元気さ!Aちゃんこそ今何してるの?
家を出たって聞いて心配してたんだよ!?」
『あはは…普通にOLだよ』
彼の名前は
日本人なら誰もが知ってるであろう遊佐グループの御曹司。
要するに超絶お坊ちゃんだ。
彼はそのままグイグイ私の方へ詰め寄ってくる。
あのあのあのさっきから隣の上司からの視線が痛いんですけど、伊織くん気づいていらっしゃらない?え、ちょっと?
「にしてもAちゃん、綺麗になったね〜!
後ろ姿を見た時は変わらないなって思ったけど、最後に会った時よりずっと素敵になったよ!」
『アハハ…それはどうも…』
痛い痛い痛い。
ねえ!本当に零からの視線が!ぶっ刺さってて!!今またワンランク鋭くなったっていうか!
彼のこれは平常運転なのだ。
嫌味を全く感じさせない人懐っこい笑顔で相手を褒めまくる。
要するに天然人たらし。
…ていうか伊織くん、さっきから本当に零のことガン無視だな?
零も零で喋らないし。
「ねぇAちゃん、連絡先教えて!
また一緒に話そうよ!」
『え?ええっと…』
言いよどむ私に、彼はちょっと首を傾げる。
しかし、ここにきてようやく隣の零を見た。
そして落とすは爆弾発言。
「あ、そっか!ごめんね、彼氏の前で聞いたりして!」
『へ?彼氏?』
「無神経だったよね、ほんとごめん!
でも今日は会えてよかったよ!じゃあまたね!」
『え、ちょっと待っ』
言い終わる前に彼は手を振ってどこかへ行ってしまった。
…話を聞かないところも変わってないらしい。
勘弁してよ、ほんと…
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立夏(プロフ) - 坂竹会長さん» わわわほんとですね…!ありがとうございます!直しておきます! (2018年9月30日 21時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
坂竹会長 - ページ30、あんなとこでが、あんたとこでになっております。間違っていたらすみません。 失礼しました。 (2018年9月30日 20時) (レス) id: d6f7fc00e7 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - 立夏さん» まさか見ていただけてるとは……!夢主ちゃんがどうなるか続きが気になります……。お互い更新頑張りましょう笑 (2018年6月7日 9時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - mリンさん» わぁぁmリンさん!初めまして!私もmリンさんの小説いつも楽しみに読ませてもらってます!!本人の前で素直になれるのはいつになるやら…という感じですが応援していただけると嬉しいです笑 ありがとうございます!頑張ります! (2018年6月5日 23時) (レス) id: 0fab2bc529 (このIDを非表示/違反報告)
mリン(プロフ) - お初にお目にかかります。ちょっと素直になってきた夢主ちゃんがたまらなく可愛いです………。このお話本当に好きです。私のとこの夢主とはえらい違いが……笑 続き楽しみにしてます、更新頑張ってください! (2018年6月5日 23時) (レス) id: 0761f3b4ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年5月20日 18時