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そうしてしばらく時間がすぎた時、零さんが静かに口を開いた。
「…無視なんかして悪かったな」
『へ…?』
「お前が謝ろうとしてることには気づいてたのに」
思わずハンドルを握る彼の方を見る。
零さんはこっちは見ず、まっすぐ前だけを見ていた。
『…なんであなたが謝るんですか』
「昨日口を開けばなにを言ってしまうかわからなかったんだ。傷つけるくらいなら頭が冷えるまで話さない方がいいと思ったけど、本末転倒だったな」
綺麗な横顔が対向車のライトに照らされる。
その顔は相変わらず不機嫌そうだけど、声はどこか優しかった。
呆然としている私を置いて、彼は続ける。
「ハニートラップ、なんでやるなって言ったと思う?」
『え?私のことが好きだからでしょう?』
「お前ほんとそういうとこだぞ」
『なんですか違うんですか』
「それもなくはないけど、お前が1番好きなのは俺ってわかってるからな」
『うわ、そういうとこだぞ降谷零』
「なんだてめえいきなり偉そうに」
やっぱりそのへんの考えはほぼ一緒らしい。
なんていうか正直、会った時からずっとこれだからハニトラ云々はお互い慣れてるのだ。
…あれ、じゃあなんで急に禁止したりしたんだろ?今まではずっと普通にやってたのに。
私がその疑問に至った瞬間、彼はそれに答えるように言った。
「最初は特に気にしてなかったんだ。
俺もお前も警察官だったし、俺がシバキ倒したから護身術も身につけたし、なんとも思ってなかった。
…それが変わったのは、お前の左手が動かなくなってからだ」
『……っ』
小さく目を見開いた。
なにかを言おうとして口を開いて、でも結局なにも言えずに吐息だけが漏れる。
彼はそんな私を見ずに尋ねた。
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時