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『ちょ、あの、待って、行かないでくだせえ親方』

「えぇ?いやでも…」

『新一くん、この家裏口とかあるかな。お願いだから逃げさせて』

「…逃げた方が面倒くさいことになると思いますけど」

「ああ、その通りだ」

『それくらいわかっ…………、え?』


…今めちゃくちゃ聞き慣れた声が聞こえた気がする。

嘘でしょ、だって、まだ鍵は開けて……

ギギギ、と油の切れた人形のように振り返る。

そしてその先に立っていた最高に不機嫌な顔をしている彼に、新一くんと同時に声を上げた。


『「ひぃ…っ!」』

「未成年にまで迷惑かけてんじゃねえよ」


随分久しぶりに目が合った気がした。

願っていたことのはずなのに、しかしその瞳は絶対零度。凍てついた視線が容赦なくぶっ刺さる。

いや!鍵!!閉まってたはずなんですけど!?なにやったの!?まさか人様のお家でピッキングか!?ピッキングだな!?そろそろ訴えられるぞ!?境子先生呼ぶぞ!?


「世話をかけたね、新一くん」

「い、いえ…」


そう言いながら彼はガシッと私の首根っこを掴む。

その乱暴な手つきだけで十分怒りが伝わってきて、浮いた足がすくんだ。あ、これ絶対殺されるやつ。


『いやー!まだ死にたくないーー!!!
助けて新一くんーー!!!!』

「頑張ってくださいね、Aさん。
仲直りするまでうちには来ないで下さい」

『うそでしょ!!?そんな殺生な!!』

「おい」


新一くんと話していたはずなのに上から降ってきた冷たい声に、ビクリと肩が揺れる。やべえどう足掻いても怖い。


『………なんでしょう大佐』

「バカなことしてないでさっさと帰るぞ」

『…ウィッス』


私の舌はこんな時でも勝手に動いてふざけた軽口を叩いてくれる。まったく便利な口である。

ていうか零さん、昨日はガン無視だったくせに全然そんなことないじゃん。明らかにまだ怒ってるけど。


そのまま為す術もなくズルズル引きずられ、RX-7に放り込まれて工藤邸をあとにする。

しかしやはりというかなんというか、彼は一言も発しない。

だからって私がなにかを言うわけにもいかなくて、車内に気まずすぎる沈黙が流れる。

夜道に視線をやってひたすらそれに耐えていた。

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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:恋愛
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なでぃあ - すみません💦立夏さんの作品一覧の中でパスワード保護がかかっている作品を読みたいのですがパスワードを教えて貰えないでしょうか? (2023年1月10日 21時) (レス) id: b7c646722c (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - over the rainさん» ありがとうございます!!私の文章で幸せになって頂けたなんて私の方が幸せです!笑 ありがとうございました!! (2020年3月14日 22時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
over the rain - 話の構成も文章の書きかたも素敵で、幸せな気分です!これが神だ。嬉しくて泣けました(マジ)応援してます! (2020年3月5日 10時) (レス) id: a4bab14be1 (このIDを非表示/違反報告)
立夏(プロフ) - なのなの-VIIさん» わぁ〜!とってもご無沙汰な更新でしたが読んで頂けるなんてすごく嬉しいです!!ありがとうございます!!私もはっぴー満点で眠れます!笑 (2020年2月9日 0時) (レス) id: 4a977019e9 (このIDを非表示/違反報告)
なのなの-VII(プロフ) - 更新ありがとうございます! めっちゃ嬉しいです! おかげで幸せな気分で寝れます! (2020年2月8日 23時) (レス) id: 3d69e77dfd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:立夏 | 作成日時:2018年11月18日 21時

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