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紡ぐ ページ6

芥川は森鴎外、首領と正面を向いて話している。

真剣な表情で話している。

森がある提案をすれば、頼み事をすれば、芥川は顔を歪め、「承知」と云う。

其れは決して任務などでは無かった。

でも、芥川には断ることが出来なかった、否、芥川の頭の中には断ると云う文字は存在しなかった。


芥川が森を背に、歩いていけば、森は黒い笑みではなく、少しか哀しい笑みを浮かべて「頼んだよ」と、芥川に向けて云った 。

芥川は其の言葉を聞いて、立ち止まったが、何も言わずに再び、歩き出し、部屋を後にした。





芥川が辿り着いたのはAの執務室だった。

丁度、Aを案内していた樋口が執務室から出てきた。

樋口「あっ、先輩!」

芥川「樋口か……Aさんはここにいるか?」

樋口「はい!怪我一つありません!」

芥川「そうか、助かった」


と、芥川は云って執務室に入っていく。
樋口は顔が真っ赤になって嬉しそうに飛ぶ。







A「あっ、芥川君」

芥川「首領に、色々教えるよう、命令された。」

本当はそれだけじゃ無い事は芥川は知っていた。態とだ。

それに、隠してたって、いつかは本人に、気が付かれてしまうだろうだろう。

彼女の異能は物質を操る。組み合わせや仕組みなど、全て頭に入っている人だ、頭の回転が速い。

芥川はなるべく自然体にして話している。
勘付かれないように。

芥川「明日は貴方の健康の為、特務課に行く事になっている。」

A「そっか、用意しなきゃだね」



と言って、席を立った。

彼女にはもう気付かれているかもしれないが、特務課に行くのはある目的(・・)があっての事だ。







珈琲を啜る。

少し苦く感じたのか、砂糖を幾つか入れる。

そしてまた啜る。

珈琲の入っているカップを机に置き、Aは自分の書いた日記と睨めっこしていた。

芥川はAが懸命に思い出そうとしている事に気がつくのに時間は要らなかった。
でも、其れはあまりと云うか、今は望んでいない事だ、少し困る事があったのだ。


首領からの命令はこうだ。


『A君は肉体が死んでいる。2年前にね、でも、何に(まさ)ったのかは解らないが、あれは人じゃない、異能其の物だ、と云う事は解るね?絶対に太宰君には会ってはいけない。A君の任務には必ず君が付いてくる。若し、太宰君がA君に触れて仕舞えば、"二度目の死"だ』



芥川はそう云われた。

獄練→←枷



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作者名:梅雨椪 | 作成日時:2019年6月27日 15時

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