菅原くんは弟と血がつながってない。【男主】

家族。35 ページ35

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退院後、産みの親と会うことになった。

待ち合わせ場所は落ち着いた雰囲気のあるカフェ。


スーツではないけれど、シックな色のジャケットを着てかっちりした雰囲気を出しておいた。

もちろん話すのは俺たちの今後のこと。

菅原家はどうするかは俺が決めるべきだし、どんな答えを出したとしても受け止めると言ってくれた。

俺は初めて逃げないで自分で答えを出した気がする。

席に座って10分程した時に、俺の前の席に二人が来た。

改めて父の顔を見て、そっくりだと思った。


『すみません急に。どうしてもお話したくて』

「構わないよ、こちらもこの間は不作法にすまなかったね」


イタリア人の彼は流暢な日本語を話していた。


『俺はあなた方が嫌いです。家族だと思っていないしこれからも家族になるつもりはないです』


すっぱりと言うと、二人の顔が硬直する。

俺たちだけ、空気が圧倒的に冷たかった。


『俺の名前は菅原A。菅原家の次男で、兄が一人と俺を大事に育ててくれた両親がいます』


母は涙をためて俯いた。

でもここできっぱりと決別しなければ、俺はまた引きずることになる。



『あなた方にめちゃくちゃにされた人生はもう二度と戻ってこないしこの火傷の跡は一生残る。それを見る度に俺はあなた方を恨むと思います。

でもそれを盾に逃げることをやめます。

俺はこれから幸せになります。今の家族に恩返ししたいし、新しい家族を作って孫の顔を両親に見せてやりたい。


それが俺の望む幸せです。

…でも、産んでくれた恩は絶対忘れません。

もし俺が幸せになったらその証拠にお二人に会いに来ます。


ではいつか、また会える日まで』



席を立って一礼し、彼らに背を向ける。



『ありがとうございます、父さん、母さん』




この俺の声は届いただろうか。





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