菅原くんは弟と血がつながってない。【男主】

家族。32 ページ32

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その後、しばらくAは目を覚まさなかった。

容態も安定していて、もう目を開けてもいいはずなのに。


まるで起きたくないと言っているようだった。

二人きりの病室はあまりに静かだった。


菅原「なぁ、もう起きてくれないのか?」


そう問うてみるも、もちろん返事はない。

菅原は質問した自分が虚しくなってくる。


それにしても、なんて綺麗なのだろうか。

透き通った白い肌、絹のような髪。

閉じている瞳は汚れのない海のような色をしていることを彼は知っている。


その時、病室の扉が開いた。



及川「Aの様子は?」


及川は手に造花の花束を持っている。

岩泉、花巻、松川もそれぞれ見舞の品を持ってそこにいた。


菅原「まだ意識は戻ってないけど容態は安定してるよ。あとは待つだけだから…あ、椅子あるから」

岩泉「ん、ありがとな」

花巻「おーいAー、聞こえてっかー」



花巻の問いにももちろん返事はない。

少し困った顔をした松川。

心配そうに菅原を見る岩泉。

花束を窓際に置いた及川。



及川「もう1週間、か」



静かな病室には及川の小さな声でも十分に響いた。

その時、

マナーモードに設定された携帯電話のバイブレーションが鳴る。


菅原「あ、俺だ。…ちょっとAのこと任せてもいいか?」

岩泉「あぁ」



ぱたり、と病室の扉が閉まった。



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