十八話 きっと、そう ページ19
バシャバシャと水で顔を濡らして、キュッ、と蛇口を閉める。タオルでぽんぽんと軽く顔を抑える。はぁ、と小さく息をついて、手をゴシゴシと雑に拭いて、タオルを洗濯カゴに入れた。
「…あ、姉ちゃん」
「ん、ああ祐か。何、どうしたの」
「乃亜がさ、今日の放課後か、日曜日遊びに行ってもいいかって」
昨日言われたんだけど、言い忘れてた、と付け足す。今日はプロデュースの予定があるけれど、日曜日は特に用事はない。日曜日なら暇だから大丈夫、そう返すと、分かった、言っとくと言って祐は自室へ戻った。
それから着替えて、朝食を食べて、いつも通り、学校へ向かった。
私が教室に入ると、クラス中の視線がバッと私に向けられた。いつも通り、小さくおはようございます、と呟きながら入っただけなのだけれど。
「A、ちゃん」
「嘘、だよね」
代川さんに言われたその二言。
私の名前と、お願いだから否定して、なんて願望の混じった一言。
言われた言葉の意味がわからなくて、教室を見回すと、ある一点…黒板を見たところで、ようやくその意味がわかった。
どくん、と心臓は大きく脈打った。
クラスにいる皆の戸惑ったような、気まずそうに私を見つめるその視線に含まれているものの意味がわかった。
代川さんの、言葉と、混乱しているような表情と、私の手をぎゅっと強く握る行動の意味がわかった。
「ち、がう……違う……わた、私は……」
心臓の鼓動がどんどん早く、大きくなっていき、呼吸が上手くできなくなる。
じんわりと目頭が熱くなって、悠亜が、彼から滴り落ちる赤い液体が、冷たくなった彼の肌の感触が全てが勢いよくフラッシュバックしてくる。
「違う！！違うッ…！私、私が殺したんじゃない！！」
掴まれた腕なんて振りほどいて、そう叫んだ。
違う、私が殺したんじゃない。
悠亜を私が、私が殺したわけじゃない。
私が殺したわけじゃないの。
『水爽Aは人殺し』
真っ赤なチョークで書かれたその文字。
…違う、違うんだよ。
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もふねこ(プロフ) - 牡丹さん» コメントありがとうございます！こちらこそ、見つけてくださって、そして好きと言ってくださって、本当にありがとうございます！！更新頑張ります！ (2019年3月19日 21時) (
レス) id: 53c853b275 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹 - 初コメ失礼します！作者様の作品大好きです！！こういう話が大好きで、この作品見つけられた時とても嬉しかったです！無理をなさらない程度に更新していただけたらなと思います！これからも頑張ってください！応援してます！ (2019年3月19日 17時) (レス) id: 8eaf4e5da0 (このIDを非表示/違反報告)
もふねこ(プロフ) - 夜月さん» コメントありがとうございます！ただの自己満なのに好きと言っていただけて嬉しい限りです…！ありがとうございます！ (2019年3月19日 16時) (レス) id: 53c853b275 (このIDを非表示/違反報告)
夜月 - こういう系の好きなのでありがたいです！体に障らない程度で更新頑張ってください！ (2019年3月19日 15時) (レス) id: 4a6cf1e43a (このIDを非表示/違反報告)
もふねこ(プロフ) - 天宮さん» コメントありがとうございます！本当ですか…！？好きになっていただけて本当に嬉しいです…！！！天宮さんのお言葉でこれからも更新頑張っていこうと思えました！ありがとうございます！！ (2019年3月18日 22時) (レス) id: 53c853b275 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：もふねこ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2016年9月5日 22時
