王と騎士とお姫様【月永レオ】 (ページ31)

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作戦その1 ページ31

ジャッジメント開催まであと2日。

歌詞、振り、全ての流れを頭に叩き込んだ「Knights」の隣には、王様率いる「ナイトキラーズ」が並んでいた。

はぁ、といつにも増して俺は重々しいため息をこぼす。
それに気づいたナイトキラーズの1人、俺の部活の先輩でもあり、学院の生徒会長を務めるエッちゃんが、声をかけてきた。

「おや、凛月くん。かなりお疲れのようだね？大丈夫かい？」

「ん〜…まぁ、吸血鬼だし…？ただ相手にエッちゃんがいると思うと、俺は生き残れる自信はないよ〜…？」

わははは☆と相変わらず紙をばらまく王様をよそに、俺たちは世間話を始める。

チラ、とAの方に視線を向ければ、あんずと何か話しているみたい。

あそこの間に入って今すぐAを抱きしめたい…眠いし膝枕してもらお〜…

フラフラ〜とそちらに行こうとすればエッちゃんが俺の首根っこを掴んできた。

「ぐえっ！？…ちょっとエッちゃん…ま〜くんみたいに扱い酷くなってきてるよね…？」

キッと睨みつければ、痛くも痒くもないよ笑というように余裕の笑みを見せるエッちゃん。

「ごめんね、凛月くん。どうやら2人は真剣に段取りをきめているみたいだから、つい、ね？」

片目を閉じてニコッと笑うエッちゃんについつい毒気を抜かれて俺は降参する。

そうこうしてる間にいつの間にかAは部屋にはいなくてあんずがこちらに向かってくる。

今度はセッちゃんの方に言ったから、盗み聞きするためにホールドされていたエッちゃんからスルリと抜けて2人に忍び寄る。

「あの、瀬名先輩。準備できました…。でも本当にいいんですか？手の内を晒すようなことをして…」

「いいんだよ、それがあのお姫様の要望だからね。…全く、とんでもないことを考えるよねぇ、うちのお姫様は♪」

文句を垂れているセッちゃんの顔はどこか生き生きとしてる。

タイミングを測ったかのように、部屋の扉が開くと、そこには今回のジャッジメントの衣装を身にまとったAが立っていた。

それに気づいた全員が目を奪われる。

白を基調とした衣装に袖を通したAは、本当のお姫様みたいだった。

まぁ、今回のAはお姫様じゃないんだけどね〜♪

チラ、と今度は王様に視線を向ければ、ポカーンとしている。
かと思えば急にまた紙を撒き散らし始めた。

どうやら作戦その1は成功ってところかな？

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