王と騎士とお姫様【月永レオ】 (ページ17)

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皇帝と王様と。ページ17

「Aちゃんは知っているかい？君のところの王様の話を。」

暫く沈黙していた生徒会室に、彼の綺麗な声音が響く。決してひびきわryとは言わないし言えない。

" 王様 "

その単語を耳にした瞬間、あたしの肩が少しピクっと跳ねる。
良い話でないのは誰だってわかった。

ましてや、緑髪の…ええっと、はすみー先輩なんて苦虫を噛み潰したような顔をしてる。

『王様という名は何度かお聞きしたことがあります。ですが、お会いしたことはありません。いつか、会えるといいなと…そう思っています。』

「ふふ、そうだね。でも、彼が君の前に姿を現す時は、きっと彼は絶望するんだろうね。そんな顔をする彼の顔が頭に思い浮かぶよ。」

とても楽しそうだった。

人の不幸は蜜の味、なんて言うけれど、それを言動で今、この目の前の皇帝が著してくれた。

『〜っ！！！』

ばん！と両手で彼の机を叩けば、彼はびく！…ともしなくて、伏せていた目をそっとあげる。

"酷い顔をしているね、お姫様"

彼の穏やかな目はそう語った。

それに余計苛立って、あたしはお邪魔しました、と生徒会室のドアを荒々しく閉じる。

分厚い扉の向こうであの後どんな話をしてたかなんて、あたしには聞こえないし分かりたくもない。

初めてだ、この学科に来てこんなにも不快な思いをしたのは。

"彼は絶望するんだろうね"

まるで、今のKnightsの在り方が間違っているというようだった。

腹立たしい。
皇帝陛下っていうのはあんな人なの！？
あれが生徒会長！？

『あー！？信じらんないっ！！！！！！』

バァン！！！とドアを蹴り開ければ、そこは憩いの場セナハウス。

無意識に足はここへ向かっていた。
そもそも、ミーティングもあったし。

イライラを少し収めてすっと前を向けば、目をまん丸にさせた4人の騎士たち。

泉さんと嵐ちゃんはその言葉の通り目を丸くさせ、心臓がとび出そうだったとかうざいとか小言を漏らす。

凛月くんは寝ようとしていた所だったのか、床に頭をぶつけて悶えていて。

末っ子す〜ちゃんは、お菓子を喉に詰まらせてしまったようだった。

『(こんなに和んでいてライブの時はかっこいいKnightsの、どこに絶望するって言うのよ。)』

頭から離れない皇帝陛下のあの言葉。

思い出してしまえば、また腸が煮えくり返りそうなくらい激怒してしまいそうで、とりあえず凛月くんをみて笑う。

もちろん怒られた。