王と騎士とお姫様【月永レオ】 (ページ36)

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女王陛下ページ36

「おれがKnightsの王さまだっ！知ってる人はお久しぶりっ、初めましての人は覚えて帰れ！忘れてもいいぞっ、何度でも繰り返し刻み込んでやるよ！俺の名を！俺達の物語を！」

ステージで彼が叫べば会場が張り裂けそうなくらいの黄色い歓声が響く。

ステージの上には彼以外にも、皇天祥院英智、鬼龍紅郎、仁兎なずなが黒い衣装を見にまとい、優雅に踊る。

舞台袖では、相も変わらず声の出ないあたしと、あたしを取り囲むKnightsの面々。
それぞれには、やはり圧巻されているのか一筋の汗が流れる。

ただステージの方を見ていれば、がたん！と大きな物音がしてみんな一斉に我に返る。
どうやらスタッフさんが物を落としてしまったらしい。

幸いにも、というよりか、当たり前のようにステージでは何事もなく事の次第が進んでいく。

我に返ったみんながプリンセスライブでしてくれたように、嵐ちゃんはメイク直しを、末っ子すーちゃんは衣装に綻びが無いかを、凛月くんはあたしの緊張を和らげるために雑談を、泉さんはあたしの髪を丁寧に櫛でといてくれた。

あと少しで、自分たちの番。
そんな時後ろから"お待たせしましたお姫様！"という可愛らしい声が聞こえる。

声は出せずとも、待ってました！と満面の笑みで振り返ればそこにはあるものを持った勝利の女神様がいた。

その手に持っているものに、Knights全員が驚きを隠せないでいる。

「A、それ…。…？？？？」

勝利の女神様こと、あんずちゃんからあるものを受け取ればあたしはそれを愛しく抱きしめる。
凛月くんは何が何だか？というよく分からない顔をしていた。

目配せで、あんずちゃんにお願いねと頼めば通じたのか、それをあたしの頭に乗せて丁寧に、正確に固定してくれる。

ありがとう、女神様

声は出せないので口パクをすれば、コクコクと首を上下に振ってくれた。

「はぁ…そういう事。敵を欺くにはまず味方から、そう言いたいんでしょ？…"女王陛下"？」

あたしが何をしようとしているのか、それに気づいた泉さんは騙されたにも関わらず、満面の笑みであたしの気持ちを代弁してくれた。

まさしくその通りだ。

泉さんの言葉にあたしも思わず笑みをこぼす。

"行こう。あたしは絶対に勝つし、みんなも勝ってね。"

そう目配せすれば全員がひざまづきあたしに視線を向けた。

「「「「仰せのままに、女王陛下」」」」

あたし達は衣装をなびかせ、ステージへ足を運んだ

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