王と騎士とお姫様【月永レオ】 (ページ26)

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王の"奇行" ページ26

『しゅ、粛清っ…？って、貴方になぜそんなことが言える権利があるんですか！？昼間寝てたら急に顔を近づけてきたり、紙は床にまき散らすし、理由はあったもののお昼休みつぶすまで追いかけてくるし、なんかめちゃくちゃ“奇行”に走りまくってましたよね！？』

「……ちょっと王様ぁ？あんた、こいつに手ぇ出してないよねぇ？」

『お、王様…？この人が…？』

泉さんの軽く落とした言葉が、あたしの中では重くのしかかる。
昼間、本当にやってしまった・・・と思うのだけれど、この目の前の奇人が王様だということに少しばかりショックを覚える。

あたしが昼間の奇行をべらべら口にしてしまったせいか、泉さんはあたしを庇うように目の前に立ち、後ろへと隠してくれる。

「昼寝？？ん、んん？んー…？…あー！！！お前！俺の顔ひっぱたいたやつだな！？」

「あっは…ｗｗ」

セナハウスにいつの間にか寝床を作ったのか、寝転んでいた凛月くんが思いっきり吹いてしまう。
目の前の泉さんも、こいつの顔を…？と珍生物を見るような眼をしていた。
嵐ちゃんでさえ、動揺して、セナハウスの端っこにいた末っ子す～ちゃんは片手にお菓子を持って固まってしまった。

「んー…んぁー…？お前…確かこの前の…？」

急にスン！と表情を変え真剣な面持ちでずかずかとこっちに近づいてくる"王様"に不覚にも怖気づいてしまう。
ついつい、泉さんの服をつかんでしまった。

「やっぱりそうだ。お前、少し前にプリンセスライブに出てたやつだろ～？」

アップルグリーンの瞳は、品定めをするかのようにあたしを睨みつけた。
あの時の泉さんとはまた違う先の見据え方をしている…というよりも、何かをどこかに置き去りにしてきたような、そんな据わり方。

そんな顔しないでよ。

あなたもまた、そんな顔をするの？

少し前に見たような、寂しそうな顔。
何かにすがっているようにも見えるその人は、お前に物申す！！！としばらく続いた沈黙を破る。

「うん、決めた。内部粛清をすることは変えない。俺の作る臨時ユニットと対決してもらう。それにそこのお前！気に食わない！！しれっと俺のKnightsにいるのが気に食わない！確かにお前は霊感(インスピレーション)をわかせてくれるけど、それとこれとは話が別だ！！！」

王とお姫様の大喧嘩はここから始まった。