先輩×後輩=(？)【朔間凛月】 (ページ33)

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Aから貰ったチケットで通されたのは特等席だった。

席には王様と、俺とま〜くんしか居なくて、両サイドが騒がしい。

でも____

「うおおお！おれの愛しのAかわいいぞ！愛してる！きゃー！こっち向いて〜！」

「見ろよ、りっちゃん！！やっぱあいつすげぇなぁ...！」

「うん、あの子は凄いよ。」

沢山の人から求められて、愛を叫ばれて、それで笑っているAを見るのは悪くない。

全て私のものだと言わんばかりのレベルの高いパフォーマンスに俺は圧倒されっぱなしだった。

たまに目が合ったような気がして跳ね上がる心臓に、あぁ好きなんだなって柄にもなく気付かされる。

アイドルオタクになる気持ち、少しわかったかもね〜なんて...。

「なんかたまに目合うよな？！」

「ま〜くんの気のせいだよぉ〜...」

キャッキャとはしゃぐ幼なじみは頬を赤くして俺に抱きついてくる。

もうオタクだよねぇ。

だけど、良い気はしなくて。

このライブが終われば、きっとこの幼なじみと俺の好きな子は付き合ってしまうわけで。

あの子の好きな人が

「(ま〜くんじゃなきゃ良かったのに...。)」

喜べないし、そう思う自分に心底嫌気がさす。

「どうした、凛月。具合でも悪いのか？」

俺の顔を心配そうに覗き込む幼なじみは優しいし、好きだけど

俺はまだ子供だから。

「...ま〜くんには関係ないでしょ〜。」

そっぽを向いて、素っ気なく答えればま〜くんは黙ってしまった。

隣の王様は、関係なさそうに愛妹にキャーキャー言っている。

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