先輩×後輩=(？)【朔間凛月】 (ページ24)

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「今日も来てるわね、あの子。」

「ああ、黒髪で美形の...確かアイドル学校の生徒さんじゃなかったかしら？」

「毎日欠かさずお見舞いなんて...余程大事な子なのね...」

「ステージ機材の下敷きになったんでしょ...もう2週間も目を覚ましてないのに...」

*

2限目を知らせるチャイムが学院に響いた
ガラッと教室の扉を開ければま～くんやナッちゃんが駆け寄ってきてどうだった？と聞いてくる。

2週間も目を覚まさない、あの子の容態

「今日も変わらずだったよ～...ふぁ～ふ。俺は疲れたから寝るね、おやすみ～」

「おいおい凛月、それだけかよ...なんかもっとこう、詳しく言えないのか？？？」

「仕方ないわよォ、凛月ちゃんだってだいぶショック受けてるのよ...1番ショック受けてるのはウチの王様だけど...」

「月永先輩の事か？...先輩も2週間学院に来てないよな。」

俺の席から離れてナッちゃんとま～くんが世間話をしている。
今の俺はAに関して地獄耳だからなんでも届いちゃうんだよね～...??

「早く目を覚ましてくれたらいいのに...」

「ほんとにな...」

机に突っ伏した隙間から、下を向く2人の表情が見えて俺の心臓をキュッと締め付ける。
これが毎朝Aのところに行くたびに起こるから、もうヘトヘトで俺らしくなく泣きたくなっちゃう。

この前久しぶりに道端でばったり会った王様は、目の下にたくさんのクマ作っちゃってさ。

俺に楽譜渡してきて

«これ、Aにあげるんだ。あげたら目覚ましてくれるかな。あいつ、ライブだって控えてるしさ。この曲喜んで使ってくれるかな。»

泣き出しそうな王様の震えた声を思い出す度にまた心臓が痛くなる。

ふと、Aのライブチケットを手にする。

ピンクをベースに使われた可愛らしいチケット。

チケ販の時はきっと凄い倍率だっただろうし、誰もが月永レオの妹のライブを心待ちにしていたと思う。

天使と女神が作るライブ

そんな肩書きどうでもよくって。
俺は、ただあの子がキラキラなアイドルをするライブをこの目で見たかった、と思う。

成功してしまえばAは想い人に気持ちを伝えるってことになるんだけどねぇ...。

「(こんな形でライブが延期になるなんて...)」

早くあの子の目が覚めればいいのに。

目が覚めたら1番に駆けつけてあげるから。