先輩×後輩=(？)【朔間凛月】 (ページ2)

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『うっちゅっちゅ～☆』

｢おいこら月永!…の妹!廊下を走るな!｣

『あやっ、ハスミー先輩。眉間に皺寄せちゃお顔が台無し…って怖い怖い!!きゃー!』

｢捕獲してやる!!!｣

(…うるさ。)

昼休み頃

教室の外でそんなやり取りがあったのを寝ぼけながら俺は聞いていたのを覚えてる

うるさいったらありゃしないから、覚束無い足取りで、ナッちゃんに心配されながら教室を出て…

それで、お気に入りの場所まで行って

放課後までぐーっすり吸血鬼の仕事の一環でもある睡眠を取って…

んで、今日はレッスンもなかったし荷物取って帰ろうと思ったんだけど。

『それで、ですよ…?』

｢うん。｣

何故かこうして俺は今、王さまの妹であり、冒頭で騒がしく廊下を駆け抜けて行った月永 Aと所謂｢恋愛トーク｣をしている

というかAがAの好きな人の話を勝手に俺にしているだけで

それを俺は｢うんうん｣って聞く。ただそれだけ。

本来なら何事もなく帰れたはずなのに、本当に何故か2-BにAが居て、何だかやけにしょんぼりしてて

恩人の妹だし、優しくしてあげればなにか見返りが来るかも___

なんて考えながら｢何してんの、なんでここにいんの｣って話しかけた。そしたらこうなった。

『それでそれで…!!私、好きになっちゃったんです…!!』

｢…へぇ。その人はさぞ、素敵な人なんだねぇ?｣

『…100点満点過ぎます。』

キャッと顔を手で覆うその様は、さながら恋する乙女
頬を赤くして、嬉しそうに話すから流石の俺も寝てはいられない。

(俺にも妹が居たら、こんな感じなのかな__)

｢頑張って?｣

『っ!!』

ポンポン、と兄が愛しい妹にするように頭を撫でてやれば

『はわっ!?!?』

と勢いよく座っていた席から立って荷物を持って教室から出て行ってしまった。

はわ!?!?とか、

普段のあの子からは考えられないほど｢女の子｣をしている顔が見れて
物珍しさからか、今の俺は気分がいいの♪

｢あ、そう言えばその好きなやつって誰なんだろ～…｣

恋愛トークの大目玉である、｢好きなやつ｣を聞くのを忘れてた

あの王さまの妹が恋をしたなんて俺にとっては暇つぶし程度のいいネタでしかなかったけど

知人なら取り合うことも出来ないわけじゃないし、明日にでも聞いておこう

(まあ、話を聞く限りせっちゃんではなさそうだったねぇ♪)

ちらりと横目で時計を見てから俺は教室を出て帰途に着いた。

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