スキになったら負け！2【Hirano.S】 (ページ16)

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episode61 ページ16

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カートでの周辺散策は30分ほどで終わり

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「お風呂入っちゃう？」

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19:00の夜ご飯までまだ2時間ほどある。

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「追いかけるからAさん先に入りなよ」

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紫耀くんに言われて

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脱衣所で浴衣を脱いでさっと体を洗うと

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ちゃぽん

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露天風呂に肩までつかる。

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まだ日が沈みきってなくて

電気がついてなくても明るい…

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「入るよー？」

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ふと声がして振り返ったら
腰にバスタオルを巻いた紫耀くんが

濡れた髪をかき揚げて
こちらに歩いてきて

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何度見ても、
逞しすぎる肩幅と
ゴツゴツと浮き出る腹筋

あまりの肉体美に
直視なんて出来なくてぶくぶくとお湯に沈みそう。

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紫耀くんが入ると
水嵩が増して溢れ出たお湯がバシャッと流れて

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カランっ

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立てかけてあった桶が倒れる。

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一緒にお風呂に入ること自体久しぶりだし、

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そもそもそんなに何度も入ったことないし

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こんな素敵なお風呂だし、まだ明るいし

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恥ずかしさから紫耀くんから距離をとって
そわそわしてしまう私に

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「もうちょっとこっちおいで？」

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紫耀くんの手が伸びてきて
あっという間にがしりと掴まれて
引き寄せられる。

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陸にいたって簡単に引き寄せるんだから
水の中でなんて一瞬だ。

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「ちょ…っ」

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水の中で密着する身体に

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何ともいえない感覚になって

まだ入ったばかりなのにもうのぼせそう。

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「しあわせ。」

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後ろから私を抱き抱える形で

私の肩に顎を乗せた紫耀くんが呟く。

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「しあわせ」とか「だいすき」とか
いつも真っ直ぐに伝えてくれるのは嬉しいけど

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「しっ…しょうくん？」

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この状況でのそれは恥ずかしすぎます…

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もじもじしてたら

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「えいっ」

石みたいに固まってしまった私を
紫耀くんはくるんと反転させると
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「あっ…」

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向き合うように、

紫耀くんに跨って抱きつく形になってしまって

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「Aさん顔真っ赤。もうのぼせちゃった？」

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天然なのかわざとなのか

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…いや、今は絶対わざとだけど

そんなこと言って首傾げてるから

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「もう〜…」

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観念して
目の前の首筋に顔を埋めたら

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「…Aさん、それ…誘ってるん？」

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そんなこというから

心臓の奥が

ドッキーン！って苦しくなる。