スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ35)

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episode33 ページ35

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キッチンに立ち、
クリームシチューのお鍋をかき混ぜていると

ガチャリと玄関の鍵が開く音がして、
そこから真っ直ぐにこちらへ向かう大きな足音…

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「Aさん！！！！」

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その主は紛れもなく彼で

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「あ、おかえり」
「おかえりやない！！！」

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何故にこんなに息を上げているかって

原因はもちろん、昼間に永瀬くんによって行われたイタズラで。

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「あれは全部永瀬くんが…」
「あーもー！ホンマ今ドア開けた瞬間に、玄関に廉の靴あったらどうしようかと思った！！！！」
「そんなわけないでしょ笑」
「何してたん？」

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何をしてたも何も、
本当の本当に偶然同じカフェに居合わせて
声かけてもらって、
ちょっと相談しただけ…なんだけど

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「……相談？」

言ってから“しまった！”と思った。
紫耀くんがこのワードに引っかからないわけがないのに

「相談っていうか…うん、まぁちょっとした話…」
「なに？俺にも教えてや！」

誤魔化しなんて通用しないけど、

でも、

紫耀くんのバレンタインどうしようか相談してました～なんて言えるわけもなく

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「本当大したことないから！ね！相談とか大ごとみたいに言っちゃったけど、ごめん、全然ちがう」

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何とか取り繕おうとしても

「なんなん？廉には言えるのに、俺には言えへんような悩みがあるん？」

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拗ねてしまった紫耀くんは止められない。

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おまけに

「あ……そか、俺の愚痴か…それは廉にじゃないと言えへんもんな…」

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なにやら話しは全くちがう方向へ向き始めて

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「ちがうの！ほんとに！ただバレンタインの相談を！！！……あっ！！！」

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紫耀くんの進んでいく勘違いに
焦り過ぎた私は咄嗟にそう口にしてしまった。