スキになったら負け！【Hirano.S】 (ページ36)

今日:7 hit、昨日:0 hit、合計:264,579 hit

episode34 ページ36

・

「……バレンタイン？」

・

「あっ、と、ちがうの。あの…」

・

“バレンタイン”という言葉に
やたら敏感な紫耀くんは

「バレンタインがなんなん？廉と過ごそうとでもしとるん？」

・

いつものニコニコ笑顔は何処へ…
ジリジリと私に詰め寄ってきて

・

「…もう！だから！バレンタイン、紫耀くんに何あげたらいいか相談したの！」

・

その真っ直ぐすぎる瞳に
耐えきれなくなった私は仕方なく白状した。

・

・

「なっ…」

・

それを聞いた彼は
ポカーンと言う文字が頭上に浮かんでしまいそうなくらい
正しく“ポカーン”とした顔をして

・

そして、
その言葉の意味を理解したのかふにゃあ～と一気に表情筋を緩めると

「Aさんそんなこと悩んでたん？かわいっ」

・

大きなぬいぐるみを抱きしめる子供のように私を抱きしめる。

・

「紫耀くん何もしなくていいって言ったけど…、でも…他の子のチョコ食べてたら…なんか……」

・

抱き締められた時の安心感に
心はとろとろに溶けてしまい…

くだらない悩みがポロポロ溢れ出すと

・

「こないだ誕生日にケーキ作ってくれたばっかりでしょ？だから、また何か作るのも大変だよなーと思って言ったんやけど…でもそんなに悩むんやったら欲しい！Aさんのチョコ欲しい！！！！」

・

紫耀くんはその小さな悩みを
笑ったりせずにしっかり拾ってくれる。

・

・

・

・

バレンタイン当日

「なぁ！廉見て！！！」

「あ？」

「Aさんのチョコやで！！手作り！！」

「お前、なんでスタッフさんからのチョコこっそり海人にあげとるんかと思ったらそのせいか！」

「だって、あんな沢山のチョコ持って帰ったらAさんヤキモチ妬いちゃうし！」

「はぁ……なんなんホンマ。(結局手作りチョコあげとるやん…」

・