言って欲しい、11 *修正あり ページ16
「……はっ、ぇ…え、っん!? ちょ、これどんな状況っ」
寝起きなのにも関わらず、ばっちりと目が覚めてしまったカノさんは未だに戸惑っている。
そりゃあ、当たり前だ。布団の中に自分が好きではない…むしろ嫌いに近い女子と抱き合って寝ていたのだから。
すると突然バァンッと乱暴に開かれるドア。
「どうした、何があった!?」
と、キドさんが可愛らしい寝巻きのまま焦った様子で部屋に飛び込んできた。
……キドさん、貴方が私を犠牲になんかするから…こんなことに。うぅ…私は嬉しかったけれども…!!
こんなんでは、カノさんに好いてもらうどころか益々嫌われてしまうではないか。
そう思いながらため息を大きく吐いた。
それと同時にカノさんが掛け布団をバサリと自分と私の上から勢いよく剥ぐと、即座にキドさんに疑問を訴え始めた。
「…キ、キド……これ、どういうこと!? なに、僕…一体何をやらかしたの!??」
すると、キドさんは何故か突然ブワッと赤くなりその質問から逃げるように目を泳がせてこう言った。
「…し、知らん。ただ一つ言えるのは、Aは犠牲になったと言うことだ…以上っ」
それだけ言い残すと彼女はバタバタと忙しなく部屋を出ていった。
寝巻きだったってことは、これから寝る…もしくは起きる、?ところだったのかな。
「「……」」
少しの間、沈黙が続く。
これだと一生このままかなぁ、と思い口を開こうと思ったら…カノさんがぽつりと言った。
「………もしや…僕、…Aちゃ…きーちゃんに取り返しのつかないことしちゃった?」
真顔で聞かれた。こちらを全く見ていないけれど横顔からそんな顔が伺える。
というか、今…やっと名前でっ!呼んでくれた…途中で訂正されたけれども。
しかし答えようとしても、答えられない。
だって、どう返したらいいか…。
多分、取り返しのつかないことまでは行ってないと思う。私の記憶のある限りでは。
「多分……大丈夫、です」
なんでか掠れている声でそう返すと、彼はバッとこちらを振り向き「本当に!?」と肩を掴んだ。
そんなに真剣に聞かれても……全然、覚えてないんだよね。
あのシンタローさんが来た後のこと。
だから、私は「は、はは…」と乾いた笑いをしながら頬を掻くことしか出来なかった。
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ピーコ(プロフ) - 愛羽姫さん» (゚д゚)! 確か、トリップの方にもコメント頂いた方ですよね…! ありがとうございますすすすっす!!← コメント来なくて寂しかったので嬉しいです…。ファン!? そ、そんな…もう本当にありがとうございます! これからもちまちま頑張ります(笑) (2018年4月4日 1時) (レス) id: 36c7fddb64 (このIDを非表示/違反報告)
愛羽姫(プロフ) - コメント書いたつもりでいたらまだでしたああぁ!やっぱりピーコ様の作品は皆面白い…!!もう私ファンですからね…!← 応援しまくりますよもう! (2018年3月26日 19時) (レス) id: 68f98be685 (このIDを非表示/違反報告)
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作者ホームページ:なし 作成日時:2014年1月28日 22時