ドS彼氏な激重先輩【乙骨憂太】

酔い ページ44

「五条先生に渡されたチューハイ.....？」





真希さんの一言に全員の動きがピタッと止まる。





「あー、お前らと合流する前の話だよ。

食べ物やら飲み物やら持ってたら、五条が知らぬ間にチューハイ忍ばせてきやがった」



「そういやそうだったな。捨て忘れてたみてえだ」





へぇー、そうだったんだ。



私達が来る前にそんなことが.........




って、え？




そのチューハイを今、乙骨先輩が間違えて飲んだって言いたいの？





「え、それ乙骨先輩大丈夫ですか.....んんっ、！？」





口いっぱいに広がるレモンとアルコールの風味。



いつもじゃ絶対見れないような余裕のない顔が、私の目の前にある。





「せん、ぱいっ、！？待って.....！！」





おふざけなしで、本気の力で先輩の肩を押そうとする。



でも何故かその体はびくともしない。




男女の差。体格差。身長差。



高校生である私達にとって、それはとても大きなものだということに気づく。








途端に口内に入り込んで絡む舌。



いつもの夜を彷彿とさせる手加減なしのキスに、体がビクッと跳ねた。





「んぁ.....っ、！？」





甘い声が漏れる。



前からも後ろからも横からも、ひたすらに視線を感じる。




羞恥心と背徳感に襲われ、思わず腰が抜けた。



けど地面に座ることは許されず、腰をぐいっと引き寄せられる。




そしてまた、愛おしそうに口内を蝕まれる。





「んん〜〜〜ｯ、！！ば、かっ、せんぱいｯ！！」





私の声は悲惨にもいやらしい音でかき消される。



私を引き寄せながら、先輩の右手が服の中に入り込むのを感じた。




まずい。それは流石に、まず過ぎる。




どうにか保たれた理性でそう判断し、先輩の身なんて気にせず護身術でなんとか押し倒す。





「〜〜〜っ！！馬鹿！この激重先輩が！！」





どうしようもなくなって、共有スペースを駆け出た。






.







「おい、憂太」





真希は優しく乙骨の頬を叩く。





「A出てっちゃったぞ。いいのかよ」



「ん......」



「はぁ....もうその演技やめろよ、お前」



「お前、酒飲んでもちっとも酔いなんてしねえだろ。前間違えて飲んだ時平気だったじゃねえか」





その言葉を聞き、乙骨の顔は一瞬でいつも通りに戻る。





「......あれ、バレちゃった？笑」





迫真の演技だと思ったんだけどな、と微笑む乙骨。



1年の3人は目を見開いた。





「「「こっわ......」」」

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